『X-MEN: アポカリプス』さすがブライアン・シンガー。気が利かない。

『X-MEN: アポカリプス』

X-Men: Apocalypse

2016・米 ブライアン・シンガー

IMDb 7.3

Rotten Tomatoes 48%

あらすじ:黙示録さん目覚める。

ザックリと感想を

圧倒的フツー

続編ならではの継ぎ足しによる、ありがちなマッチポンプ感。

圧倒的ビジュアル。

各部の緩んだネジ。

圧倒的ブライアン・シンガー感。

悪くはない、良くもないって感じです。

『フューチャー&パスト』では本編と前日譚をうまく絡めて、しっかりととまとめあげていた。

美しいエンディングのあと、おまけ映像ではアポカリプスやるよ!と意気込みを見せてはいたものの、どう付け足すのか不安が過った。

前作の大団円に愛着があると本作にノるのが難しくなる。暗殺を阻止して調和を示した過去編と、そこからすべてがうまく行きジーンとスコットが生き残っている未来編、その間に位置するのが本作だ。

つまり、本来存在しない出来事かもしくは無事解決することが決まっているかのどちらかだ。

しかも多世界解釈などのタイムパラドックスの説明を一切しないので、本作がどこに位置するかはかなりファジーな判断する必要がある。

アメコミ上級者なら大雑把に、過去作との関連のあるなしに折り合いを付けることができるだろう。

たが映画だけのライト層には、モヤっとした部分が残るはず。

演出や設定でも疑問に思う点が多く、作品を壊すまではいかなくとも、締りのない話に見えて、いまいちテンションがあがらない。

とは言え、倒すべき敵がいてそれを倒すという明確なプロットラインあるので安心して最後まで見られる。

尺は長いが、期待以上のアクションシーンが楽しめるはすだ。ただし尺は長い。無駄に長い。

↓ネタバレ感想↓

長文ですのでBGMをどうぞ

紀元前3600年、エジプトはアポカリプスに支配されていた。彼は年老いて弱りかけていたが、ミュータントに乗り移り能力を奪うことができる。

それによりヒーリング能力をもつ若い体に乗り移り不老の力を得る.

しかし、奴隷たちの蜂起により地中へと埋められた。

なぜか、乗り移り儀式を行うピラミッドには破壊装置が備わっている。滑り台から巨石を落とすと、主要な柱を破壊しまくって自動的に地中へ沈んでいくのだ。ピタゴラスイッチでピラミッドが壊れる便利な謎機能。

おそらく作ったのはアポさんだが、なんでそんなもん作った?
本作はこのような、なんだか違和感のある設定、演出が散見されるためどこか居心地の悪さを感じる。見た目はいいけど座ってみるとささくれ立っていて座り心地の悪い椅子みたい。ホスピタリティに欠ける。
アポカリプスの初登場シーンも微妙な感じ。

威厳を示す前にヨボヨボで登場し、奴隷にしてやられる。カリスマ性が足りない。

かわりに、腹心である元祖フォーホースメンの戦い方がいちいちグロくて素敵。肉塊や焼死体が山盛りに。レイティングGとは思えない景気の良さ。

ここで得られるヒーリング能力は最後まで説明がなく

チャールズたちも把握していないので勝利条件が確約されない不安がある。こなごなになればいいのかなーといったぼんやり設定のまま進んでいくことに。

オープニングは、延々と長いトンネルを高速で駆け抜けるジェットコースターのようなビジュアル。

ところどころに舞台となる場面のモチーフが映る。ミッションインポッシブルとか007みたいなオープニングで本編の期待が高まっていい感じ

舞台は1980年代に、

前作(の過去編)から10年。

先の事件以降ミュータントの存在は明るみになり、ミスティークは暗殺を阻止したとされ、英雄と呼ばれている。

この時点で、前作の未来編のエピローグは一旦忘れてってことでしょうか。

ナイトクローラーやスコットなど若い面々が学園に恵まれし子らの学園に集まっていく。

若々しいジーンやジュビリーと出会うあたりでは、アニメシリーズでもあった学園モノみたいなアプローチになるのかと思ったが、そんなことはなかった。

楽しい雰囲気もスターウォーズを見にいっただけで終了。「3作目より2作目のほうがいい」とのセリフは、ブレッド・ラトナーに喧嘩を売っているのだろうか。3作目がアレなのはシンガーが途中で投げ出したからでは?

しかも本作も3作目じゃ?

エリックはポーランドで身元を偽って暮らしていた。普通の人間のふりをして、妻と娘を持ち、幸せな日々を送っている。

いくら10年たっているとはいえ、いきなりすぎる。マイケル・ファスベンダーの演技力があろうともさすがに時間が足りていない。

エリックが働いている製鉄工場で事故が起き、機材の下敷きになりそうな人を救うため力を使ってしまう。

管理社会のなか、当然のように通報され警察に囲まれる。

自業自得とは言わないが、なんでそんなピリピリした共産国を潜伏先に選んだでしょうか。監視社会で常に見張られてるようなものだし。

そして、追い詰められる中、娘が取り乱し、ミュータント能力を発現させる。それに驚いた警官は、矢を射ってしまう。金属がつかわれていないため防ぐことができなかった。

娘とともに妻も死亡。

エリックは怒りにまかせて、娘のペンダントで警官全員を惨殺。

娘のニーナが悲鳴を上げると森の中の鳥が一斉に警官たちを襲いだす。マグニートーの娘と言えばスカーレット・ウィッチだけど、この子は無関係みたい。スクイレル・ガールの鳥版みたいなものか。

演出の問題なのか、すっぽ抜けた矢が人間二人を殺すだけの力があるとは思えない。

ペンダントを使うのも、最初からそうしろよと思える。

エジプトでは、ミュータントの始祖を崇める秘密結社が暗躍。地中に埋められたアポカリプスの遺跡を掘り起こそうとしていた。

すると掘り進めた穴から太陽の光をさし、遺跡に当たる。すると遺跡がパワーを発揮し、地中深くのアポカリプスが覚醒した。

ここも演出のせいか、太陽が当たって程度で復活できるならよく5000年も寝てられたなと不思議に思う。

その際、アポさんの目覚めの悪さで世界各地で地震が発生する。

むしろ、何千年にか一度の地震でアポさんが目覚めるほうが説得力あっただろうに。

目覚めたアポさんは現代のエジプトにとまどう。

軽くカルチャーギャップコメディの雰囲気。

アポさんの前にストームが現れる。

貧しい彼女は、天候を操る能力で店主の気を逸らして盗みを働いていた。

盗みを咎められ、男たちに囲まれているストームをアポカリプスが助ける。

なぜか気を逸らして、その目線上で盗むのですぐにばれる。追いかけられる。そして捕まる。間抜けにもほどがある。

ストームが追いつめられるが一般(無能)の方たちなのでピンチなのかもよくわからない。

その時少女マンガよろしくアポさんが助ける。ここで初めてミュータント能力を見せてくれる。元素を操るとんでもない能力だが、見た目には暴漢を壁にめり込ませるだけなので凄さが伝わらない。

どうやらめり込みながらも意識があるという生殺し状態のようだが、そこまで残酷にみえない。

そのあとの能力を発揮する場面で、地中に人間をしずめるという描写がある。そこでも、直立した人間がいきなり地中に埋もれて、地面から足だけが生えている様な図に。脅威というより、モンティパイソンみたいなシュールな面白映像に見えた。

ストームの自宅に招かれたアポさんはテレビに関心を示す。

英語もしゃべれなかったアポさんは、テレビを触ると電波を受信する。

電波通信教育で英語から近代の歴史、世界情勢を簡単にマスター。

マトリックスより便利。

絶対的な権力を持っていたアポさんは世界に兵器があることに激おこ。仲間を集めて再び頂点に立とうとする。

各地を回って、ハイレグ女剣士サイロック。酔いどれ天使エンジェル。傷心のマグニートーを仲間にする。

アポさんはミュータントには優しい。

自分をみつめるだとか自己啓発セミナーみたいなことを言って力を増幅させてくれる。

ストームの出力が上がる。あと髪が白くなる。

サイロックの出力が上がる。ハイレグになる。

エンジェルが鋼鉄の翼になる。モヒカンになる。

マグニートーの出力が上がる。ダサいヘルメットをくれる。

といった恩恵が得られる。ヒーロー戦隊はリーダーのファッションセンスに従わなくてはならない。

力を授けてくれはするものの、自らの思想を説いたりはしないので、動機づけが弱い。今までのようなミュータント対人間の構造から一歩踏み出てしまい、観念的な目的のために動くので理解がスムースに追いつかないし、今までのシリーズであった、どちらにも理があるという葛藤がほぼない。

アポカリプスの目覚めにただならぬ気配を感じたチャールズは、CIAへモイラに会いに行く。

感傷的なチャールズと初対面のようにふるまうモイラ。キューバで生き残ったあと、彼女は記憶を消されていたのだ。自分のことを覚えていない最愛の人を切なげに見つめるチャールズ。

悲恋みたいな空気をだしときながら、ラストではお手軽に手を添えるだけで記憶が戻る。またもいい仲になりそうな予感。

感動的で切ない再開だと思わせておいて、結構簡単に記憶を戻すことができるみたい。

とってつけたようなロマンス展開にうんざり。しかも彼女は中盤以降はただいるだけで何の役にもたたない。人質になるとかマイナス面でも役立たず。ミュータントでもないので文字通りの無能。なぜ前作でいなかったのを復活させたのかわからない。

モイラの情報をもとに、セレブロでアポカリプスについて探りを入れるチャールズ。

それを察知したアポカリプスは逆にチャールズの思考を読み取りろうとする。それを防ぐため、セレブロを破壊するハボック。

チャールズに興味を示したアポカリプスは直接、学園にテレポートしてきた。衰弱したチャールズを難なく連れ去る一行。ハボックはそれを阻止すべくブラストを打ちこむ。すると大爆発が起きた。

ハボックの今回の活躍は、セレブロと学園を破壊したことのみになります。

しかも学園が大爆発する理由も不明瞭。ビーストが必死に止めていたから射線上にとんでもない爆発物があったのだと思う。

ピタゴラピラミッド破壊スイッチしかり、なぜそんなわが身を危険にさらすようなものをセットしておくのか。

ここでみんな大好きクイックシルバー登場。

父親であるエリックがあらわれたとのニュースを見て、チャールズに話を聞くため学園に現れる。

その時、地下で爆発が起きるのを察知したピーターは高速移動の能力をフルに発揮し学園の人々を救出する。

Eurythmics – Sweet Dreamsが流れる中の救出劇。

本作屈指の名場面。布団で簀巻きにして運んだり、飲みかけのコーラを飲んでみたり金魚を救出したりとユーモアが満載で非常に楽しい。

しかし、それが問題だ。

後になって、唯一ハボックだけ救出できなかったことがわかる。2回目に見たら素直に名場面が楽しめない。いままさに超スローでハボックがまる焦げになっていると思うと金魚なんて助けてる場合じゃねぇといらだちを覚える。

ホスピタリティが足りない。

いいシーンをいいシーンとして楽しませるようになっていない。

爆発した学園にいきなりストライカーが現れ、メンバー数人を連れ去り、例のダム(X2より)に連れていく。何かしら実験する気のようだ。

ひそかに付いてきたスコット、ジーン、カートに封印していたウルヴァリンを放たれて壊滅。

例のダムに連れてかれて脱出するまで、一切本編と関係ない。

偶然飛行機を手に入れたり、かっこいい衣装に着替えたりするが、自前で作ったわけでもないのでテンションは上がらない。

結局エンドロール後のおまけの前ふりでしかない。だったらおまけは不要だし、長尺の原因はだいたいこのパートのせい。

アポカリプスはチャールズの能力を増幅させ、自らのメッセージを世界に発信させる。

そして、世界中の軍関係者を操り、核兵器を大気圏外へ発射してしまう。

世界発信する内容もよくわからない。核兵器を放棄するあたり、エコテロリストみたいな発想かと思うけど、世界規模で磁気を捻じ曲げ惨事を起こすあたりは人命を軽視しているようだ。

しかも無差別なのでミュータントも大多数死んでいる可能性が高い。

そんな黙示録の始まりと思える光景のなか、おなじみスタン・リー登場。しかも今回は奥様も一緒。シリアスな演技はしているけど、現れるとどこかファニーな雰囲気を持っているため場違いなのは否めない。

MCUでは安心してリー御大を堪能できるタイミングで出演させていたのに比べると、さすがシンガーといった手抜かり感。

アポカリプスはカイロで新たなピラミッドを建設。

そこでチャールズの体に転移する儀式を行おうとしている。

元素を自由に操れるので、巨大建造物もお手の物、悪の総本部だってすぐに作れる。

しかも、自分含めたメンバーの巨大石造まで作ってるからわりと古風な悪役だ。さすが5000年の時代遅れ。自分の像を建てるとか死亡フラグ。

チャールズが体を乗っ取られる寸でのところでカートがテレポートで救出。

理屈は分からないが、アポカリプスが転移しようとするとスキンヘッドになるようだ。まずは髪型から始めるあたり相当のこだわりがあるらしい。

転移は失敗したが、絶大な力を見せつけX-MENを圧倒するアポカリプス。クイックシルバーのスピードさえも視認して足止め出来る無敵ぶり。

チャールズは一度アポカリプスが頭に侵入してきたことを逆手に取り、自分から相手の精神に潜ることに。

相手の攻撃を逆手に取るような、逆に侵入するという燃える展開だが、ものの1分で返り討ちにされる。

この戦いの場面が、精神世界だったり現実世界だったりで小忙しい。チャールズは精神世界で戦って、ジーンが精神世界に助けに駆けつけ、アポカリプスが両方で戦って、ジーンが現実で逆転する。

何が起きているかは理解できるが、どちらか一方に絞るか、うまいことカットバックでもしないと盛り上がりを減じてしまう。

演出面でもどちらに比重を置きたいかがわからない。

タイミングよくエリックも改心してくれた。息子のピンチはスルーできても親友のためなら寝返る男、それがマグニートー。

エリックがアポカリプスを阻むために鉄骨を打ちこむ。

交差した鉄骨がXを模していて心憎い演出。

「裏切るのか」

「いや、仲間を裏切っていた」

セリフは感動的。しかし、どこかが弱い。レイブンの説得に応じず、息子の呼びかけもスルーしといてチャールズがピンチだと駆けつけるのは、都合がよすぎる。息子が同じペンダントを持ってるとかだったらよかったのに。

チャールズの力を恐れるなという励ましにジーンが覚醒する。

体にエネルギーを纏う姿は不死鳥のようだ。

アポカリプスがひるみ、全員で総攻撃をかける。

ジーンが序盤に悪夢でうなされながら力を発現させていたり、それを抑圧しているという描写はあったもののここまで凶悪な力を持っていたとはわからない。

フェニックスの設定を知っていたり、X3をしっかり覚えていれば理解できるが、本作だけの説得力はない。

チャールズは勝てる理由として、

「我々はひとりじゃない」と言っていた。確かにチーム戦での勝利ではある。

しかし、ただの総当たり攻撃なため、展開としてのカタルシスはない。

ビッグヒーロー6のように、それぞれの特性を絡めたコンビネーションの場面がほしかった。前作でのブリンクのコンビネーションのほうがチーム感が出ていた。

ストームもついでに加勢。

脚本の穴に飲み込まれてしまったストームさん。動機も薄ければ心変わりも薄味。むしろ、一番弟子みたいにアポさんの仲間になってたし、能力開発されて嬉しそうにしてたから、一番心変わりに気を使うべきなのに、なんだかノリで加勢したように見える。

せめてエンジェルと仲が良ければ、使い捨てにされた時の不信感も納得なのだけれど。

オールスター興業の弊害として、全員がまんべんなく活躍できることはまれ。前作では、クイックシルバーが途中退席して出てこなかったし。

今回は、ナイトクローラーが力をつかいはたして気絶してましたという描写がある。

雑。

アポカリプスは消え去りった。ミュータントたちの戦いは世界中に知れ渡り、親和派を増やすことになりそうだ。

でも、あんなことをしたのはミュータントだし、またマグニートーのせいで大惨事は起きてるし、センチネル開発待ったなしでしょ。トラスク博士もまたやる気だすに違いないし、政界中から資金が集まるはず。

崩壊した学園をマグニートーとジーンが資材を操ってサクサク再建。

その後、はやりエリックは離れていく。今回、すくなくとも人口の10%は殺してると思うけど無罪放免なのかな。

再建された学園での訓練場面でエンディングへ。

レイヴンは学園に残り、若者の指導をする。「あなたちはもうX-MEN」

今回初めて、紫と白を基調にした原作コスチュームを着ている。

そして訓練相手はもちろん、センチネル。

タイムトラベルしてまで阻止したかったセンチネルがこんなところにあるって。

ターミネーター2でシュワちゃんが溶鉱炉ダイブしなかったみたいな気持ち悪さがある。

そしてエンドロール後。

血みどろになった例のダムで、エセックス社の人間がウルヴァリンの血液を回収する

続編へのフリはお約束だけども、今回はこのためだけにダムの場面があるようでげんなり、しかも、エセックスなんて単語は調べないとわからないので、詳しくない人は何かあるんだろうなーとしか思わない。

前回のアポカリプスがピラミッド建設中とか、アヴェンジャーズのサノスのチラ見せ位はしてくれてもいい。名前だけとかまったく期待感をあおられない。

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