『トロフィーキッズ』子供の人生は親のモノ。異論は認めない。

Trophy_Kids

『トロフィーキッズ』

Trophy Kids

2013・米

クリス・ベル

IMDb 7.1

Rotten Tomatoes Not Available

あらすじ:子供をできることなら、いや絶対に大物にする。

IMDbやNetflixでの評価も高かったので鑑賞。

ザックリと感想を

見てらんない(超面白い)

行き過ぎたスポーツ教育パパ(とママが一人)たちの残酷ショーが見られます。

実生活では関わり合いになりたくない人が安全圏から楽しめて、それでも頑張る子どもたちに同情する。

趣味の悪い見せ物として最高に楽しいです。

けどもいたたまれない。

題材の勝利

ドキュメンタリーは題材を決めた時点である程度成功が決まってくる。今回は大当たり、このネタなら面白い映像が録れないわけがない。

いわばスポーツ少年少女残酷物語。

趣味が悪いのは分かっていても目が離せない。

すべては子供のため

各親の共通する物言いは、子供のため。

しかし、子供たちはひたすらに感情を殺して親の希望通りに振る舞っている。

時折、親が不在のインタビュー場面が映るが、そこでも、言葉を選んで親に怒られるのを恐れているかのようだった。

また親たちは自分たちが正しいと思って教育してるので、平気で的外れなことをいう。

まともなことをいうのは、首になったバスケコーチや別居している妻くらいなもの。

「異常にプレッシャーを与え、精神的虐待になっている」

「そこまで否定したら、自分を評価できない人間になってしまう」

カメラの存在を感じさせないむき出しの人々

題材だけで面白い作品になりそうだけど、誰でもとれたかというとそうでもない。

子供を叱りつけたり、試合で悪態をついたりとかなりギリギリな、人間性をむき出しにする場面が映っている。こういった生々しい様子をさらけ出すのは、カメラに油断しているて、撮影者と打ち解けている証しだ。

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まとめると

題材通りの面白さが保証されている。しかし、撮影側が追い込まれる子どもたちに介入したりはしないので、何も変化したりはしない。

まったくもって快い作品ではないが、下世話な意味で大変面白かった。

子供の試合が誰のモノかわからなくなってくるあたりで、『プライド 栄光への絆』(Friday Night Lights)を思い出した。

↓ネタバレ感想↓

何組かの家族が登場する。フットボールに打ちこむ父子、バスケ父子が二組。テニス母と双子の息子。ゴルフ父と娘。
共通しているのは、教育する親は片方のみで、子供の意志については深く掘り下げられない点だ。

フットボールの父子はかなり抑圧的な関係だ。父親は自分がすべて正しいと思っている。クォーターバックの的確な行動を教え、実際の試合で言った通りに動けなかったら集中していないと息子をの罵る。さらにはタッチダウンすると、俺の言った通りだと手放しでの賞賛はしない。

試合や練習帰り、車の中では、ミスの指摘や説教ばかり。息子は「車に乗ると自分を否定してばかりいる」と言った。

息子に彼女がいると知った時の物言いがひどい。人生そのものを刈り取ってしまっているような言葉だった。

「10代の恋愛なんて成就しない。もったとしても半年だろ」

「でも父さんも学生のころ彼女がいたでしょ?」
「俺は間違いを犯した。だから正しい指摘ができるんだ」

一面正しいのかもしれない。しかし、思春期の感情すべてを否定してしまっては情緒なんて育たないだろうに。

息子はフットボールが嫌いになる瞬間があるというが、父は、そう思うのは心の弱さが原因だと聞く耳を持たない。

バスケの父子は少しましかもしれない。息子はバスケが好きだし、奨学金を目指して努力している。

だが、父親の熱量はおかしい。試合中は口汚い言葉を口にしてコーチに絡み、揚句は試合観戦禁止されてしまう。しかもその時のほうが息子の成績がよかったというから皮肉なものだ。

もう一組のほうの息子が怪我をした場面が印象的だ。シーズンまっただ中。腕を骨折。3か月は試合にでられない。そんな時に彼が言ったことは、怪我の具合でも痛いでもなく、親父に殺される、だった。

個人的に一番気持ち悪かったのはテニスの母子だ。双子の息子の才能を引き出すのは神のご意志なのだそうだ。方向性に悩んだ時も祈れば答えが導かれるとのこと。

宗教アレルギーの身としてはこの母親のいうことがとにかくきつい。ことあるごとに、神に感謝するとか。息子たちを鍛えるのは神の選択だとか言っている。子供たちにも、神に感謝しろと教えている。こういった自分の行動を神が導いているとのたまうお方をみると、神様ーあなた利用されてますよーと天に向かって叫びたくなる。

しかし、悲しいかな。この母子が一番関係が健全だ。息子たちはテニスも練習も楽しそうにしているし。神の教えも素直に呑み込んでいる。皮肉なものだ。(悲しいのも皮肉に感じるのもただの宗教嫌悪だけど)

ゴルフの父娘はかなり空気がわるい。3年前は大会で優勝したこともあるが、最近は最近は、入賞できればいいとこ。ゴルフ特有のことだが、大会中はキャディとして常に近くにいる。

この父親がとにかく口汚い。ちょっとでもミスをするとすぐに罵る。グリーンに乗せろF###、バーディーじゃだめだS###だとかとか言っている。

娘に足してアマとかいう。この英語はなんて言うんだろ。
しまいにはレッスンに金がかかるとか、早くスポンサーがほしいと下心むき出しの話をする。

日本人の少年のユニフォームにマクドナルドのロゴが付いているのを羨ましそうに眺めている。

すべての家族に共通しているのは自己愛と家族愛に境界線が全くないところ。子供のことを自分のことのように喜ぶ、というと聞こえはいいが、結局は自分の人生の功績の一部としか思っていないように見える。

しかも子供を正しい方向に導いていると確信している。だからこそ、ドキュメンタリーに出演し、自慢げにインタビューに答える。

この題材で撮り始めた時から、監督にはある程度批判的なスタンスがあったんだと思う。

ほとんどの場面がギスギスした雰囲気でまったポジティブな要素がない。スポーツ英才教育の功罪というより、罪にばかりスポットが当たっている。

そもそもトロフィーキッズなんてタイトルからして、批判する前提であることは間違いない。

見知らぬ世界がのぞき見れて面白いが、子供たちの行く末はまだ未確定だし、結局何が正しいかは誰にもわからない。

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