『ダーティー・コップ』適役!ニコラス・ケイジみたいな狂人役ニコラス・ケイジ。

『ダーティー・コップ』

The Trust

2016・米

ベンジャミン・ブリューワー

アレックス・ブリューワー

IMDb 5.4

Rotten Tomatoes 59%

ニコラス・ケイジ

あらすじ:刑事だけど、大金のにおいがしたので盗みに入ろう。

1日だったので、『君の名は。』からはしごしてのニコラス・ケイジ。

ザックリと感想を

こんなニックが見たかった!

近年珍しいほどのトマトメーターのハイスコア(とはいっても60%くらい)通りの良作でした。

期待通りの面白さでした。どくとくの会話のずれからうまれる笑いが、徐々に狂気へと移っていくさまが素晴らしい。

おどけるニックが、どんどんと悪乗りし、悪事に高揚していくさまは本当に楽しそうで、見ているこちらも大変満足でした。

バッド・ルーテナント

ニコラス・ケイジは警部補なので、まんまバッド・ルーテナント。

でも汚職モノではなく、真面目な刑事が大金の情報を見つけて盗み出そうとする話。

ただしそこはニコラス・ケイジ。ただの真面目な刑事ではなく、最初からどこかおかしい。

バーでの場面。

ニックがいきなり、レモンにタバスコをかけて食べてみろと言い出す。

ためしてみるイライジャ・ウッド。口に入れるとむせかえってまったく旨くもない。

うなずくニック「だよな」

ここまでなら、ただからかっただけのように見えるが、ニックは自分でも食べてみてなんのリアクションもせず去っていく。

まともじゃない。

全編にわたって、細かなオカシイ動作が挟み込まれている。ブレスケアのスプレーをいったん外すのとか完全にジム・キャリーだ。

実はコメディ。細かすぎて伝わりにくいブラック・コメディ

益体ない笑えるかもわからないジョークがかなりちりばめられている。被写体の向こうのピントがあっていないところでもギャグが行われる。へんな手触りのコメディだ。だがそれがいい。

いい刑事、悪い刑事

いたってのフツーのドラマ作劇では、真面目な刑事が徐々に道を踏み外していくさまが、段階的に描かれるはず。

しかし、本作は真面目に警察職務に準じているのになんだか手触りの変な人物として描かれているので、まったく共感できないけどなぜか説得力はある。

そして、マリファナもやるし娼婦も買う不良警官としてイライジャ・ウッドが登場。もともと不良なので手を貸すのも納得。

でも狂人ではないので、どんどんと巻き込まれていき、ドン引きしていくのがこれまたおかしい。たまらなくいい。

スポンサーリンク

まとめると

ケイパーものとしての手順の踏み方が、そのまま狂人が露呈していく過程になっていて引き込まれていく。

そしてちりばめられる、いい意味でなんだか手触りの悪いギャグ。

アクション要素はほぼないが、クライムサスペンスとしていろいろな展開が用意されていて飽きさせない。近年のニコラス・ケイジものではかなりの傑作。

独特のギャグセンスやBGM使いなど、演出面も面白いのでブリューワー兄弟の次回作にも期待したい。

↓ネタバレ感想↓

オープニングはラスベガスの町の空撮。軽快な音楽

警部補のストーン(ニコラス・ケイジ)、若手の警官ウォーターズ(イライジャ・ウッド)それぞれの出勤準備の様子が映される。

チェストの上にきっちりと並べられた道具一式を身に着けていくストーン。

方やウォーターズは、娼婦と交わっている。気だるげにことを済ませ、マリファナを吸いながら金を払って出ていく。

不良警官のウォーターズも、どこか表情は虚ろ。またがっている娼婦の胸にホクロがあるのを注視していて全く楽しそうではない。

彼にもどこか現状に不満があるように感じる。

現場に到着。
真面目なストーンは、現場に到着した上司に陳情する。新しい証拠管理システムがあれば、操作もははかどる。

しかし上司は予算がかかると聞く耳をもたない。それどころか、押収品の競売場所に欲しいものがあるから口利きにいってくれと自分の利益しか考えない男だ。

現場での上司とのやり取りのなか、画面奥では延々と、容疑者が窓から逃げて車に乗り、警官が車の窓を割り、ドリフばりのおお取もの。よくあることといった様子で二人は気にも留めない。

監督の作風なのか、カメラ奥で珍妙なやり取り、挙動をする場面がいくつかある。

この全く強調しないのに異常に主張の強いギャグがなんともいえない空気を醸し出す。

そしてその作風自体が、一見マトモなニコラス・ケイジが実はイカれていることが徐々に明らかになっていく話に絶妙にマッチ。

ぜひともこのコンビでの次作が見たい。

競売会場ではほかの事件の証拠も洗っている。

資料を見ると多すぎる保釈金を現金で支払われている容疑者がいた。ストーンは違和感を覚え資料を持ち出す。

バーにウォーターズを呼び出し資料を見せる。容疑者の周囲に大金が払える者がいる。悪人の金を奪おうと持ちかけた。

ここで先述のレモンとタバスコのやりとり。

真面目な前振りから、大した動機も提示されず犯罪を企てるのであっけにとられる。しかし、そもそもマトモな人間ではないとう雰囲気がそこかしこに見え始める名珍場面だ。

保釈された容疑者が務めるホテルを突き止める。

ストーンは、潜入捜査と称してホテルで働きながら、金の出処を探り始めた。

中年の口髭ニックがピッタピタのホテルの制服に身を包んでいるだけで笑える。

ニックがコスプレ好きだからか、いろいろな部署の制服を着て、口髭のせいでことごとくに会っていない。

いろいろな職場に回されてプールサイドや調理場などに潜むニック。そして、社員たちの休憩時間にナゾの体験談を話して心をつかむ様子がなんだかおかしい。

ホテルの仕事終わり、一部の従業員だけで、謎の荷物を運び出すトラックを見つける。ストーンは後をつけ、荷物の運び先を見つけた。

調査を続けると、荷物が運ばれた建物に新しい冷蔵庫が設置されたことを知る。

しかし、その図面を見ると巨大な金庫だとわかった。

建物の調査を任されたウォーターズ。彼と受付とのやり取りが完全にコメディ。

警察署には秘密の捜査なので、完全に違法。偽の礼状はあるものの、挙動不審なウォーターズをみて受付の女性は、警察署に確認するという。思わず、受話器を奪い取ってしまうウォーターズ。

女性は怪訝な顔「違法捜査じゃないの?」
すぐさま通報されそうな空気にウォーターズは焦る「いや無駄を省きたいだけなんだ。たとえば100ドル払ったら?」

「いいわ」

この会話のテンポが素晴らしく、受付の女性はねちっこく疑う割に、100ドルと聞くとかなり食い気味に許可するので、劇場内で一番の笑いが起きていた。

頑丈な金庫を破るために、特殊な工具が必要になり、足がつかないようにドイツから取り寄せることにする。

ドイツ語辞典を見ながら、怪しげな発音で注文するストーン。さらに警察署内で電話をしていて、オフィスの中に人が入ってきてしどろもどろ。ドイツ側では完全に見抜かれていて「怪しすぎる。強盗じゃないのか」と言われるしまつ。

でもドリルは無事注文。

計画に使うため足の付かない銃を購入しようと売人と会うストーン。

ストーンは、そわそわした様子でくだらない話をし続け売人をうんざりさせる。

取引のために人気のない所まで行くと銃を確認して、すぐさま売人を撃ち殺す。

ついにストーンは引き返せない、引き返さないところまできた事がわかる。一見、緊張を隠すかのように世間話をしていたかと思いきや、いきなり死んだ目になって撃ち殺す。映画の空気が一気にシリアスに傾くことがわかる。

細かな描写も素晴らしい、売人の車を待つストーンは老眼鏡をかけている。

売人が到着するとメガネケースにしまって車に乗る。

銃を確認するため老眼鏡をかけ、直後に売人を射殺。

本来、売人は銃に弾を込めずに持ってくるはず。

よく見ると、ストーンはメガネケースの中にいくつか弾丸を入れていてそれを装填したことがわかる。

本番直前、道具の確認をする。ストーンは擬装用のナンバープレートを出して、ウォーターズに尋ねる。

「車は用意したか?」

ウォーターズは面食らって「それはお前の担当だろう」

車の調達はストーンが担当だったようだ。

ウォーターズは怒り狂って「それじゃ計画自体実行できない」

するとストーンは表情を変えずに車のキーを取り出して「冗談だ。用意してある」

ジョークのタイミングといい、笑えなさといい。やはりストーンは最初から狂人だったと見える。

計画は、金がある建物の2階にドリルを設置、穴を開け、そこからカメラで金庫のダイヤルを内側から確認しながら開けるというもの。

2階にいた男女を拘束し仕事にとりかかる。

ここで、ウォーターズが目を離したときに銃声が聞こえ、ストーンは「襲いかかってきたから撃った」と言う。

その直前、男がストーンに唾を吐きかけるシーンがある。

実際に男が襲いかかってきた場面は描かれない。おそらく、襲ってきてはいない。唾を吐かれたから撃ち殺したのだ。

女はウォーターズに懇願する。「子供がいる。父親に電話したい」ウォーターズはストーンに隠れて電話を掛けてやる。目の前で会話を聞いたが、怪しげなところはない。子守を頼んでいる様子だ。

ドリルを設置し、1階へ向けて穴を開けた。

1階でウォーターズがダイヤルを回し、2階ではストーンがカメラをのぞいて指示を出す。

ウォーターズが扉を開けると、貸金庫のように壁一面が引出しになった部屋だった。その引出しはすべて、ダイヤなどの高額なもの。

二人は喜び、2階に戻って運び出す準備をする。すると2階の部屋で大量の銃火器を見つける。チンピラが拳銃を持っているのとはわけが違う。ウォーターズは急に恐怖を感じ、盗みを中止しようと言い出す。

予想以上の価値ある品物、尋常でない武装。持ち主は、盗まれてただで済ますはずはない。

聞く耳を持たないストーンにウォーターズは疑念を抱きはじめていた。ストーンは一人だけ逃げて、罪を着せる気ではないか。

問い詰めても楽観的な物言いのストーン「このあと国外へ逃げれば大丈夫だ」

ストーンはダイヤを回収。撤収の銃尾を始める。「女を殺そう。顔を見られてから当然だ」何の感傷もなくこぼす。

ウォーターズは意を決し、ストーンと撃ち合いになる。

ストーンは死亡。手には航空券が二人分。彼は本当のことを言っていた。

ウォーターズは金庫の中にダイヤを戻す。

女を解放するため目隠しをして車に乗せる。どこか遠くで逃がそうかと車を走らせていると不審な車が追い越して前に踊りでた、どこかの業者のバン。後ろに電話番号が、女が連絡した番号だ。

バンから撃たれウォーターズは即死、女は何とか目隠しを外して運転席の死体をどけ車を止める。

その後、放置された車にあった。ウォーターズの警察手帳が証拠品袋に入れられる。

彼らがいつも処理していた事件証拠のなかに埋もれていく。

ドイツから輸入したドリルがを映しながらカメラが引いていき幕を閉じる。

映画冒頭で流れたThe Knights – Tipping Strings が皮肉を込めて明るく流れるのは、死んだところで何も変わりはしないという暗喩かもしれない。

その後、ニコラス・ケイジオールナイトでも観ました。

『顔圧!ニコケイナイト』10/29 ニコラス・ケイジ オールナイトに行ってきた。
イベントレポートっていうか完全に日記です。 2016年10月29日 日ハムの優勝やらに注目が集まっている...