『ストレンジャー・シングス 未知の世界』S1 1980年代の映画が一番面白いよね。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』
Stranger Things
2016・米 ダファー・ブラザーズ
IMDb 9.1
Rotten Tomatoes 94%

あらすじ:少年が疾走し、超能力少女と出会う。

いろいろと何処かでみたモチーフで溢れている。
1980年代のアメリカの田舎。シングルマザーの家庭。人種も個性も多様な友達グループ。いじめられっ子に目をつけられてる少年たち。BMXでまちなかを疾走するクレーン撮影のシーンはノスタルジーを感じずにはいられない。

ET、グーニーズ、キャリー、遊星からの物体X、その他諸々。1980年ごろの映画の要素がところどころに散りばめられている。

ぱっと見て、J.J.エイブラムスが作りそう。Duffer Brothersというクリエイターらしいが、過去作は存じあげない。

新鮮に見られたら間違いなく面白い
既視感を感じても、既存の作品との答え合わせが楽しい。
本筋の話も、子供が行方不明になった母親が主軸なため、容易に感情移入できて見続けることができる。

↓ネタバレ感想↓

全8話と短めなので、最初のテンションを保ったまま見終われた。 海外ドラマ特有の間延びも少なく良作だと思う。Netflixは連続視聴を念頭に制作しているのかもしれない。
しかし悲しいかな、シーズン2への意気込みは入れなければならないようで、引っ張り要素を残して話は終わる
感動的な最終話だっただけに残念。ファーゴみたいにシーズンごとでしっかり終わっていたら、ノスタルジーものとしてなかなかの作品になったのではないだろうか。

クレジット上はウィノナ・ライダーが主役だが、実質は、その子供たちが主軸となって話が進んでいく。
まずウィノナの息子が行方不明になり、代わりに超能力を持った少女が現れる。少女を匿いながら、消えた少年を探す友人たち。
ボーイ・ミーツガールとしてもなかなかに優秀だ。
TRPGに興じるオタク友達の中に女の子が入ったことで友情が危うくなるのも甘酸っぱい。女に嫉妬する男友達ってバカみたいだけど愛おしい。リメイク版フライトナイトでも同じようないい場面があった。

一番能天気に見えたぽっちゃり(スタンド・バイ・ミーでいうとジェリー・オコンネル)が一番、仲間思いでしっかりした考えの持ち主だというのもグッと来た。
「親友っていうのは一人だって決まってるんだ。アイツのほうが付き合い長いじゃないか」
「一人じゃなきゃだめって誰が決めたんだ。君も親友だ」
ジュブナイル的名場面だ。

子供たちの姉、兄の世代もスポットが当たる。
ジェームス・ディーンもどきの不良と付き合い始めた優等生少女。彼女のことが気になるがはみ出し者のカメラ好き。ティーンも登場させることでジョン・ヒューズ要素も補っている。

その後ETよろしく、研究者たちに超能力少女の居所がばれて、追われていくようになる。

研究者たちの当初の目的は、少女の能力を使って、ソ連の情報を得ることだ。
テレパシーとは別ものらしい。
感覚を別の空間にアクセスする。そこは通常の次元とは別の場所で、アメリカにいながら、ソ連軍内部の人物の会話を聞きに行けるといったもの。 その次元移動をしていくうちに、異世界に迷い込んでしまい、バケモノと接触してしまう。エイリアンのようでもあり、物体Xや寄生獣みたいなクリーチャー。

研究所の地下にバケモノが住む世界とのゲートが出来ていたがそれはどうやってつながったかいまいちわからない。ゲートに入って戻らなかったものも何人かいるようで、バケモノは異常に凶暴で人を食べるようだ。研究所のそとでもゲートを生み出し、あちらとこちらの世界を行き来できるようだ。

異世界のビジョンは薄暗く悪夢的なイメージ。同じスピルバーグフォロアーのエイブラムス作、フリンジでもパラレルワールドは登場したが、あちらは、現実世界の別の可能性としての異世界。本作とはかなり異なる。
苦痛を伴う実験に超能力少女は逃げ出し、研究所の地下からはバケモノが逃げ出してしまう。
行方不明の少年は、バケモノと遭遇して、逃げ回るうちに、異世界に迷い込み、そこに隠れている。
異世界に息子が迷い込むという状況で、母親は精神を追い詰められる。 誰も信じてくれない。ウィノナ・ライダーはこういった神経症的な演技がほんとにうまい。ただの懐古キャスティングではなく、役にぴったりとはまっていた。
こういった必死に息子を思う母親が主人公だと、ほかの理由づけがなくても感情移入が容易だ。
協力者の保安官も、娘を病気で亡くしているため、子供を探す母に親身になってくれる。

多少の諍いはあるものの、味方側の登場人物で、いわゆるお荷物がいないのも好感が持てる。ウォーキングデッドとかプリズンブレイクのヒロインみたいな。奇しくもどちらもサラ・ウェイン・キャリーズ。

敵対する科学者も登場シーンは少なめで、海外ドラマ特有の、ストレスを与えることで視聴を継続させる要素は少な目。

そして終盤。
少女の能力で、少年の居場所がわかり、母親と保安官が、研究所地下のゲートで異世界へ救出に行く。
ここで、保安官の娘を救えなかった場面と、少年を助ける場面のカットバックは非常に感動的だった。

ティーンの三角関係も綺麗にまとめられていた。不良少年が誤解と嫉妬により彼女から離れてしまい、関係が壊 れたかと思いきや、バケモノから命がけで彼女を守り元鞘に収まる。根暗なほうは、失恋で少し大人になったような顔。不良少年が最後に漢気を見せるのは意外かつ熱いシーンだった。

現実世界で暴れまわるバケモノと、少女を守る少年たち、追いかける研究者が出くわし、非人道的な実験をしてきた研究者サイドの人間が皆殺しにされるのでとっても愉快。

さらに、バケモノと少女の一騎打ち。能力を使い果たし、バケモノとともに消えてしまう少女。彼女が意を決して能力を発揮するのは、ドリームキャッチャーを思い出した。キャリーの名前が上がるのでもしかしたら意識しているかもしれない。
事態収拾から一か月後、救出された少年は回復し、いつもの4人組での楽しい日々、しかし、寂しそうに少女がかつていた場所を見つめる。
切ない恋物語としても優秀な最終話だった。

しかし蛇足もちらほら、保安官は謎の組織と接触したり、健康そうに見えた少年の体には、バケモノの一部が巣食っているような描写。あのまま終わっても十分だけど、きれいに終わらせられない海外ドラマの弊害が現れていた。

非常に満足だったけど、満足だったからこそ、続きが見たいかといえば微妙なところ。

余談

本ドラマで最高の脇役の紹介したい。
研究所から逃げてきた少女を最初に見つけたダイナーの親父。
彼こそが本作のMVPだ。
巨漢で強面。最初話近所のガキが忍び込んで悪さをしにきたかとおもい、少女の腕を強く掴む。しかし、怯えたかおと痩せ細った姿を見て、食事を与えてあげる。
真のヒーローとは食べ物を分け与える人間だと、やなせたかし先生も言っていた。
黙ってバーガーを食べる少女に話しかける大男。何とか名前を聞き出そうと、食べるのを一時お預けしたりするさまは、厳しさと優しさが混じった口調で、いい人間だと伝わる。このワンシーンだけで一番好きにキャラになった。しかし現実は非情である。

食事を済ませると、良識ある大人として児童保護局に電話する。
どこかで情報が研究所の人間に漏れてしまったのだろう。彼は、あっけなく組織の人間に殺されてしまった。
こんなにいい人間がまさか一話の登場で死んでしまうとは。久しぶりにショックを受けた。
細かい人間描写も本作の魅力と言えよう。死んじゃったけど。

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コメント

  1. The Guest より:

    ストレンジャーシングスはクトゥルフTRPG的な要素もあると思います。
    ラストの蛇足としている点はドラマとしてみるならそうかもしれませんが、クトゥルフTRPGの視点で見るとちゃんとした落としどころですよ

    とくに世界の裏側で過ごしてた少年の、たまに裏側の世界が見えてしまう症状は、
    クトゥルフ神話技能を手に入れて、そっち側の世界の知識が深まったと同時に、最大SAN値が減ってしまった生き残りキャラそのままです

    • メキタ より:

      なるほど!
      そういった含みもあるんでしょうね。クトゥルフには明るくないので、引っかかって来なかったです。シーズン2に向けて予習しておきましょうかね。