『えんとつ町のプペル』西さんは、性格も発想も悪くない。伝えるのが下手なんだ。

例の絵本が無料公開とのことで読んでみました。

西なんとかさん事態が嫌いだとか、プペルって名前が発声しづらくていやだとかいろいろありますが、読み終わっての感想は、まあフツーでした。

ただしビッグマウス西さんの評価が変わるほどのいい作品ではないです。

ご自身で上げたハードルのギリギリ下をくぐるような予想通りの出来。

一番はライター西さんがすべての足を引っ張っていると思います。話の展開のずさんさや、説明不足の箇所。説明した後にそれが違和感になってしまう整合性の無さ。あとがきででしゃばってテーマの説明などをしだす浅はかさ。そしてそのテーマと矛盾してくる作り込みの弱さ。

総合して絵だけならいい。物語はみながす程度ならいいのでしょう。子供向けと言いながら子供だましの域は出ていない。
過去の発言を掘り返すようですが、ディズニーには到底及ばない程度の作品でした。
お話上の問題点をあげるとすると、不用意に難解であるところ。

モチーフが渋滞していて何を伝えたいかがわからない。

まず物語の舞台となる町がすでに飲み込みづらい。
周囲を崖に囲まれている。町の煙で空が見えない。人々の捨てたごみの山がある。海はあるけど魔物が出るので漁師は一人だけ。

すでに渋滞が発生。

また絵のほうも美麗ではあるものの、あまりかゆい所に手が届かない仕様で、“星の見えない空”を強調する割に、それを現す煙で覆われた空の場面が序盤になかったりする。綺麗なだけどお話を語るほどではない絵になっている。

あとがきで語っているテーマが明白なわりには、話があちらこちらへ揺らいで、短い話なのに視点が2つに分かれてどちらが主人公なのかわかりづらい。そして、設定がまとまっていない。(もしくはつたわりづらい)
設定も話も、推し量れば理解できなくはないけど、それが足かせになって感動には及ばない。このコミュニケーション能力の低さみたいなところは、反感を買いやすい西さんの人物像そのまんまな気がします。

この絵本の出版や、売り方、無料公開での炎上あれこれを見ていてもそう思います。ブログでの言い分は非常に納得がいくものだし、十分理にかなっていると思います。

しかし、言葉選びの悪さや、話のまとまりの無さ。言いたいことが複数のブログ記事に分散されていたりととにかく話が伝わりづらい。

全部の記事を読むと納得もできるけど、いかんせんこちらが忖度する分が多すぎてイライラしてくる。

こちらの絵本も、とにかく話がまとまっていないお話なため、2度見する場面が多かった。そして2度見しても理解できない場面が非常に多かった。

4000メートルの崖にかこまれ、そとの世界を知らない町がありました。

話の書き出しはこう。絵は町の俯瞰した構図。

でも話の中盤になって、この町が海に面していることがわかる。

登場人物の父親は海難事故で亡くなった設定だと説明される。

そこから、人物の視点がコロコロと変わって話の軸がぶれていく。

主人公となるゴミ人間プペルの設定もよくわからない。

郵便屋さんが配達中の心臓を落としてしまい、それがゴミの山に落ちて、そこからゴミ人間が生まれたとなっている。

しかし、オチの部分では別の真相が明かされる。もう一人の主人公であるルビッチ、彼の死んだ父親がよみがえったという設定にすげ変えられているのだ。

そっか。ハロウィンは死んだひとの魂がかえってくる日だったね

そう息子もご納得の様子だけど、だったら最初の心臓のくだりはいったいなんだったんだ。

そしてハロウィン以降も数日存在するこいつはいったいなんなんだ。

あとがきでテーマ解説がつく。

夢を語れば笑われて、行動すれば叩かれる、現代社会の風刺。そして、「夢を見る」「夢を語る」「行動する」といった、大人になる過程で皆が折り合いをつけて捨てたモノをまだ持ち続けているという意味で、主人公を《ゴミ人間》にしてみました。

結果、夢を語って死んだ父親がゴミ人間というのは、飲み込みづらい。

夢を捨てなかった父親が捨てられた夢の象徴としてよみがえるとはどういった含意なのか。

100歩譲って、捨てられた夢の象徴というのは良しとしよう。それが周囲の弾圧を受けるという構図も納得するとして、でも作中は、ゴミのにおいが臭いという理由でいじめにあっている。それでは、失われた夢や、自分だけが見えたものを信じることを叩かれていると受け取るひとは少ないでしょう。

また物語の終盤もなんだか早急でおいて行かれた感じ。

ルビッチの父親は、海に出た時に星を見たことがある。

それを信じてもらえず周囲からうそつき呼ばわりされ海で死んでしまった。

父を信じているルビッチも周囲からうそつきだと言われている。

プペルは星を見せるために風船を集めて飛行船を作って雲の上にルビッチを連れて行き星を見せてあげる。
なぜだ。
ことさら父親と海を関連付けておいて、空へ行くのはスマートではない。

同じお話のラピュタで言うなら、父親が飛行中にみたラピュタの存在を証明するため航海に出るようなもんだ。

また、このルビッチが星を見るという一番のカタルシスが生まれるはずの場面も、前述のとおり、星の見えない空の絵がないため弱い。そして、それ以前の煙だらけの町の絵がきれいなのでそれほど絵として落差もない。

またお話の流れも雑。

ルビッチは周囲の悪口に耐えかねて、プペルと付き合うのをやめる。西さんの解説通り、プペルが捨てられた夢のモチーフであるなら、ルビッチもまた夢を捨てた人になってしまっている。

にもかかわらず。とくに心変わりする場面や、仲直りの場面もなく、プペルが戻ってきて星を見せてくれる。それは、あきらめなかった人の話とは言えない。

とにかく絵が素晴らしい。その上でテーマが結びつきそうで結びつかないのが非常に歯がゆい物語となっている。

西さんの発言をそのまま物語にしたような仕上がりだ。

そしてあとがきの最後の文章
ページ数の関係でカットになった、主人公の一人であるルビッチの父親のセリフが描かれている。

自分が見たものを信じろという趣旨だけど

星空を見たのはルビッチではなく父親だけのはず。それなのにそんなセリフ言ってたらただのもうろく爺だろうに。

別に矛盾がるのは仕方がないとしても、その論理的齟齬によって気持ちがつながっていかない。難しいことを本当に難しく言おうとして結果伝わってない。

いつもの西さんのコミュニケーションそのまんまのお話。

でも結果として普段から、伝わるひとにはつたわっているみたいなので、これでもいいのでしょう。

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