『ピンポン』自分の才能のなさを自覚できる才能。

『ピンポン』

2002・日 曽利文彦

IMDb 7.2

Rotten Tomatoes 75%


あらすじ:落ち込んだりもしたけれど、卓球はたのしい。

役者、音楽、雰囲気に頼り切って大部分が成功している。

試合運びも雰囲気優先で熱いというより情緒的。スポーツ映画としては試合が描けていないが、スポーツに取り組む姿勢の違いを描いて、ドラマとしては対立構造がしっかりとしている。

全体的に音楽がいい。壁打ちのビートとBGMが交差する訓練シーンは名場面だ。
↓ネタバレ↓

お話の流れとして、ペコが落ち込んでいる時間が少し間延びしているように感じた。ほかのキャラとの違いを出すためにもぱっと落ち込んでぱっと回復するくらいが気持ちがいいと思う。でもそれだとアクマとの会話の意義が薄くなってしまうのか。
終盤の試合展開の中で、膝の痛み苦節しているが、特訓で階段ダッシュをさせてたババァのせいとしか思えない。人間関係がしっかりと盛り上がっているのか、膝が痛いとかどうでもよく文字通り足を引っ張っているだけだった。
役者人はほぼ全員素晴らしい。こんなに漫画みたいなセリフを実在感を持ってしゃべれる窪塚洋介はやはり天才だ。

井浦新もセンシティブな雰囲気にとても引き込まれる。荒川良々も凡人代表みたいな役に徹していて好感が持てる。

問題なのは竹中直人と夏木マリだ。二人ともいかにも漫画の登場人物でゴザイとばかりに常にオーバーアクトでコントみたいな演技だ。サブキャラのコメディリリーフくらいならいいが、ドラマパートでも重要な役割のため空気を壊す場面が間々ある。かつて才能を持て余した大人としてかなり重要な役割なのに、英語交じりのルー語を話してみたりとちょいちょいリアリティを踏み外した演技がこの映画を安くしている。
子役の演技も許容範囲ではあるものの、ラストの感動的な場面で回想が入り、盛り上がりが最高潮のところ棒読みを聞かされることになる。子役の場面はセリフなしのほうがノイズは少なくていいはず。
いろいろと足を引っ張る要素がありながらも、全体の雰囲気と、若い役者の瑞々しさでその時代でしか撮れなかった傑作になっている。

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