『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』巨大な陰謀と隠し子。一見関係なさそうでいて、マジで関係ない。

『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』

Jack Reacher: Never Go Back

2016・米

エドワード・ズウィック

IMDb 6.4

Rotten Tomatoes 37%

あらすじ:デートの待ち合わせに行ったら、相手が逮捕されたので隠し子が発覚。

ちょっと前作『アウトロー』の感想を

前作は、陰謀の立ち向かう本筋と、ジャック・リーチャーの顔見せがしっかりと絡み合った映画でした。

単純な猟奇殺人かと思いきや、謎の男ジャックが出てきて、徐々に陰謀の全容と、ジャックという男がわかってくるというストーリーの進行と自己紹介が一致していてワクワクしたものです。

地味ながらも、それによってトムの体技やドライビングテクニックが映えていたアクションシーン。

トム・クルーズがあからさまにトム・クルーズとしての存在感を発揮する独自のキャラクター性。

トムが異質過ぎて起きる絶妙な笑い。

かなり好きな作品でした。

そして本作。

トマトメーター低めだけども、サービスデーならいいかとユナイテッド入間で鑑賞。

ザックリと感想を

前作『アウトロー』のが好き。

前作で自己紹介は済んでいるため、本作では、ジャックの人物像の掘り下げに入るわけですが、2本めでいきなり隠し子とは、男はついらいよでも本数が必要なレベルのものをいきなり放り込んでくる。

(調べてみると、原作はシリーズ18作目、寅さん並)

しかもその人情話が、本筋の陰謀と一切関係ないのがついらいです。

そしてアクションシーンも、派手になっているけど、その分見づらいという物悲しさ。前作の魅力は地味で見やすいところにあると思ったんですが。

相変わらずのトムのトム感は楽しいですが、それも前作の方が露悪的で味わい深かったと思います。

『ジェイソン・ボーン』並にぼんやりした話。でもボーンよりは見やすかった。

ジャックはつらいよ。トム次郎に隠し子発覚。

巨大な陰謀とは全く関係なく、ジャックに隠し子がいたことが発覚する。(正確には本人も知らなかったけど)

これが見ていてきついぐらいに、本筋と一切関係ない。

たまたまジャックが陰謀に巻き込まれ、たまたま同じタイミングで隠し子が発覚し、たまたま敵組織の知ることとなり、一緒に逃亡する。

終盤なんか無関係すぎて部屋にこもって映画見てたくらい。

さらには「もう、娘とか関係なくない?」「関係ねぇよ!」(意訳)って会話がある。

とは言え、娘とドギマギするジャックは面白いし、コメディパートとしてはそこそこ笑える。

スケールアップ。見やすさダウン。

カーチェイスや銃撃シーンなど、前作より規模は大きくなっているもののあきらかに見づらい。

カーチェイスのオチで、相手を出し抜いて走り去る場面がある。

なにかシーンを見過ごしたような感じで、いつの間に別の車に乗ったのかまるでわからない。

厨房で相手を待ち構える場面。二人で別の入り口の前に潜むが、その入口の距離もわからないし、いざ相手が入ってくると、どちらの方から入ったかわからない。そしてドサドサと殴り合いが始まる。

殆どのアクションシーンは立ち位置がごちゃごちゃしていて満足できるところはなかった。

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まとめると

言ってしまえば、トマトメーター通り。

でも、ジェイソン・ボーンよりは目が疲れないのでいい。

何より、トムらしいトムが見られるのでファンはきっと満足できるはず。

それと、マリア・ヒルことコビー・スマルダーズの軍服姿が大変お美しい。

満足は出来ないけど楽しかった。


ジャック・リーチャー(トム・クルーズ)は古巣のワシントンDCを訪れる。

以前、事件で協力してもらったターナー少佐(コビー・スマルダーズ )と食事の約束をしていた。

会いに行ってみると、彼女はスパイ容疑で拘留されていた。

アフガニスタンでの兵士殺害事件への関与が疑われている。

まず、DCに来るまでがすこしまどろっこしい。

前作を彷彿させる、チンピラを一人で倒したあとからの始まりは好き。

しかも軍事基地が絡んだ人身売買組織を壊滅させたりと、これだけで映画1本分の活躍をしているのはなんだか笑える。

でも、そのとき協力してくれたターナーとの関係が、あからさまに恋愛関係を匂わせるのはやりすぎだと思った。

前作のロザムンド・パイクとの絶妙な距離感が好きだったので、なんだかジャックの印象が違っている気がする。

ジャックは、ターナーのスパイ容疑に疑問を抱き、彼女の担当弁護士に話を聞く。

弁護士はジャックの身辺調査をしていて、娘に養育費を払っていないと指摘される。

この時点での会話にかなり難がある。

まず、ターナーはジャックが関わると大事になるため、ジャックの面会を拒否するよう弁護士に言っていた。

結局助けに行くし、拒否していたことが活きてくる場面もない。序盤の回り道で尺を稼いだだけだ。

面会拒否を不思議に思った弁護士が、ジャックを調べる。そこで養育費未払いが発覚する。

なにそれ関係ねぇ。

あからさまに後々娘がピンチを演出しますよと言ってるようなもんだ。

母親が軍に養育費を申請したらしいが、ジャックはには全く覚えがない。

根無し草のジャックにはそんなことも伝わらないらしい。

ジャックは、娘と思われるサマンサ(ダニカ・ヤロシュ)の様子をうかがう。

生活に困っているのか万引きをしていた。

ジャックとサマンサが会っているところを、謎の“暗殺者”(役名なし、パトリック・ヒューシンガー)が写真に撮っている。

つまりは、ここで会いに行っていないとサマンサは事件に巻き込まれなかったのだ。 めちゃくちゃ偶然頼りの話だ。

前作は、ご指名でジャックが呼ばれた。

本作では、(たまたま)ターナーに会いに来たら(たまたま)直近で彼女に嫌疑がかかっていて、(たまたま)面会を拒否したから、ジャックの身辺が調べられて、(たまたま)隠し子の情報が浮上して、(たまたま)ジャックが娘に会いに行ったら、(たまたま)娘が事件に巻き込まれる。

てっきりサマンサは実は敵に雇われていて娘のふりをしているのかと思った。(るろうに剣心の巴みたいな感じ)

ここまで偶然が重なるなんて、ジャックを嵌めようとしないかぎりありあえないだろ。

ターナーの担当弁護士が殺害される。

犯人は、ジャックを尾行していたあの“暗殺者”だ。

ジャックは、直前まで弁護士と会っていたことを指摘され、容疑者として拘留される。

一般人であるジャックが、憲兵に捕まるのはおかしい、そう指摘すると。軍規では、除隊後も有事には復帰させることができる。それによりジャックは少佐へと復帰した扱いにされてしまった。

ここの展開はかなり面白かった。

まず、尋問する大佐(ホルト・マッキャラニー)の体のデカさくる高圧的な態度。

それをのらりくらりと交わすジャック。

大佐「答えなくてもいいが、夕べはどこにいた?」

ひたすらだまるジャック

「どこにいたか教えてくれないか」

ジャック「答えなくてもいいって言ったから」

「答える義務はないって意味だ」

「わかった」

「教えてくれるのか」

「黙秘権についてはわかった」

最高にウザい。

前作でも見せていた、トムの異質な存在感がギャグになっているのと通じる名場面だ。

そして、軍の規定により、無理やり復帰扱いにされたジャック。

どうなるのか!?NEVER GO BACKがむりやり引き戻されてしまった!

別に関係ない。

このシーンで拘留されて以降は逃亡するだけなので何の意味もない。

ジャックは、尋問のために施設へ移される。

どうやらターナーも同じ場所に収容されているようだ。

予告編でも一番フィーチャーされていたシーン。

作戦じゃなく全くの偶然。

拘留されて、たまたま同じところに来て、なんかなし崩しに脱出。ちょろい。

ジャックは、自分を尾行していた男たちが施設に入ってきたのを見て、ターナーが危険だと判断し、脱出させる。

道順を必死に記憶するような映像がインサートされたけど、脱出するときには対して関係がない。名匠とは思えない謎演出。

フツー脱出不可能とか前ふりがありそうなもんだけどそれもない。

脱出途中で、本作最高のギャグシーン。

弁護士からキーを盗んだジャック。ターナーと駐車場に向かいながら、「弁護士のインテリ連中が好む車はどれかな」「黒のセダン」ターナーが答えると、カットが変わり、パッと駐車場が映ると、黒のセダンしかない。

劇場でも大うけだった。

その後、カーチェイスがあるが、何がなんだかわからない。

車に乗ったと見せかけて、実はトラックで、いつの間にか降りて警備車両を 何とか逃げ切る。

にげてる途中で、“暗殺者”となぐり合うけど、やっぱり見づらい。

一番最悪なのは、巨大な肉たたきを持って、どう使うのかと期待させて別に使わないってあたり。

大佐が怪しいので電話してみる。

ネットカフェで調べ物したり、なぜかいいなりになって情報をくれる軍曹とかいたけど、これくらいのノリ。

大佐にかまをかけてみると自宅のパソコンに極秘ファイルを保存していた様子。

遠くから電話していると見せかけて、実はジャックはすでに自宅に侵入していた。

大佐の腕を締め上げ情報を聞き出す。とある軍事会社が関わっている可能性が見えてくる。

大佐のパソコンからデータをコピーして逃走。

ジャックたちは、データをプリントアウトしてみる。

なかにはサマンサの写真があった。

急いでサマンサのもとへ駆けつけると、一足遅く、“暗殺者”が去った後だった。

同居人たちが殺されている。

サマンサは、戸棚の中に隠れて難を逃れていた。

暗殺者無能だな。

サマンサを身を守りながら、事件の鍵をにぎる証人を探してニューオーリンズへ向かう。

と、その前に超絶意味ねぇシーン

サマンサを助け出したジャック。彼女を安全な場所に移そうと、ターナーの母校である女学校へ向かう。

知り合いの校長に頼み込んで、サマンサを匿ってもらうことにする。

しかし、サマンサが携帯電話でメールを送ったのを見て、位置が傍受された危険を考え取りやめ。

なんなのこの流れいらない。

ジャックも携帯電話を壊してその場を離れる。

壊した携帯電話を“暗殺者”が見つけて、すぐにその場にいないことが知られる。

せめてどっかに投げとくとかすれば時間が稼げたんじゃないかしら。

サマンサが学校内で盗んだクレジットカードを使い飛行機で、ニューオーリンズへ。

このシーンの意義って感じ悪い女学生からクレジットーカード盗んだことだけだよね。

別にスリでもすればいいんじゃないか?

というより、べつに路銀の出所について気にする奴なんているのか?

なんなんだこの場面。

そんなこんなでニューオーリンズへ。

ニューオーリンズのホテルに泊まりながら、アフガニスタンの事件に居合わせた証人を探す。

サマンサにネタ晴らし状況を説明し、ジャックが父親かもしれいないと知らせる。

この間もなんだか、見せ場のための見せ場が続く。

そして見せ場なのに見づらいとはこれいかに。

飛行機の中に追手がいるけどジャックが倒す。

空港で暗殺者が出待ちしてるけど、気付いて逃げる。

証人を探していたら追手に見つかり囲まれるるけどボコる。

子守を任されたターナーが女扱いするなとマジ切れ。

この場面は、命がけで、ターナーとサマンサの居場所を隠していたことを黙っているジャックがいじらしくて好き。

でも女扱いをされて怒る女性ってそれはそれで、いまどきどうなんだと思ったりもする。

ターナーは子守がてらサマンサに護身術を伝授している。

なんだこれ、伏せてねぇ!むき出しの伏線だ!

サマンサはそれを覚えてうれしそうにしているが、ジャックはそれを見て「そんな手では殺される」と冷たくあしらう。

事件に関わっていた証人を探し出し、真実を突き止める。

軍と契約していた軍事会社、パラソースが、輸送を受け持った武器の横流しをしていた。

横流しにターナーの部下が気づき、事件当時アフガニスタンにいた“ 暗殺者”に殺されたのだった。

証人を、ターナーの信頼できる部下に引き合わせる。

部下は信用し、協力を取り付ける。

ターナーとジャックの嫌疑は保留とし、横流しの証拠を得るために、この後武器が運ばれてくる空港へ向かう。

この時点でサマンサ保護したほうがいいじゃないの?

一方サマンサは、ハロウィンだけに恐怖映画を見て過ごしてました。

関係ねぇ!

このあたりから、サマンサの関係なさが、逆に面白い領域まで進んでいく。

ターナーとジャックは、空港へ向かうが、疑問が残る。

武器の横流しではそれほど儲からない。それより、軍から契約が切られた方が手痛いはず。

なにかがひっかかる。

空港で荷物を確認する。横流しされて、中身は空のはずだ。

しかし、コンテナを開けてみると積み荷のロケットランチャーはちゃんと入っていた。

ターナーは一つずつ開けて確認させる。 開けて それも開けて 開けて。

全部あけてって言えばいいじゃないの。バカなの?

ジャックはそれでも納得がいかず、ロケットランチャーの中身を調べる。中にはアヘンが入っていた。

武器の横流しではなく麻薬の密輸入が目的だったのだ。

ちょっと待ってほしい、観客にとってはどっちでもいいし、別に気になっていなかったところでそんな真実を突き付けられても、ふーんとしかならないよ。

まさか!アヘンだったなんて!てなると思ったのか。

そして軍事会社のハークネス将軍(ロバート・ネッパー)が逮捕される。

いくらなんでも登場場面が少なすぎる悪役。ロバート・ネッパーの悪人面だよりのまったく厚みのないキャラクター。

そしてもう退場。登場シーンが少ないため、逮捕されても何のカタルシスもない。あーティーバッグが逮捕されたーくらいにしか思わない。

将軍は逮捕され事件は解決した マジでこの時点で!事件が解決してるってば! 娘関係ねぇ!

サマンサはルームサービスを注文しようと、盗難カードを使ってしまう。

カードの使用が探知され“暗殺者”がホテルに向かう。

なんで盗難カードが使われたくらい特定されるんだとか、軍事会社がそれを簡単に調べられるんだとかは、すげーはっかーがいるってことなんでしょうね。

暗殺者がホテルに来たことに気づいたサマンサは、ジャックに電話をする。 ジャックとターナーは急いでホテルに戻る。

話が終わってるのになぜか映画は続く!観客に変な緊張が走る!

この映画はどこへ向かっているんだ!?

サマンサはホテルから逃げ出す。

ホテルの外ではハロウィンのパレードが開催中。

『スペクター』をしょぼくしたような画。

そして、サマンサは、 “暗殺者” につかまってしまう。

そこにジャックが到着、銃を向ける。

今はいったい何のピンチなんだ? “暗殺者” のボスである将軍はすでに逮捕。サマンサがどうなろうと “暗殺者” はなんの得もないじゃない。そんな疑問が頭をかすめた時。

脚本家が開き直る!

ジャック「アヘン密輸の証拠は手に入れた、将軍も逮捕された。もう終わりだ彼女を話せ!」

だよな!そう思ってたよ!

  “暗殺者” 「俺には関係ない!」

そうだろうよ!関係ねぇよ!

どうやらジャックに恨みを抱いたか執着した結果、娘をいたぶろうかと思っていた様子だけど、全然そんなのつたわってこないよ。

それを聞いて諦めるジャック。銃をおいて「あの手では殺される」

サマンサはそれを聞いてターナーに教わった護身術を思い出す。

あからさまに怪しいやり取り、 “暗殺者” は何も気づかないのか。

サマンサは “暗殺者” の拘束をほどいた。その隙にジャックがとびかかる。 “暗殺者” の骨という骨を砕いて殺す。

その後、事件は解決し、ターナーは復帰。 ジャックとはいい友人どまりな感じ。

だったら序盤の電話でのいちゃこらはいったいなんだったんだ。 関係が深まる前に旅行に行っちゃいけないって教訓なのかこの映画。

余りにサマンサの母親がスルーされていたので、死んだ設定なのを聞きのがしたのかと思ってたけど、エピローグで登場。

サマンサの母親の顔を見てみたが、ジャックは全く覚えがなかった。

結局、サマンサはジャックの娘ではなかったのだ。

そう分かってはいても別れがたい二人。

別れ際に、サマンサが抱きつき、ポケットにこっそりと携帯電話を忍ばせた。

サマンサが美術の道に進むってのはいい話だけど、 やっぱりジャックの絵を描く場面とか、最後にプレゼントするとかそういう活かし方はなかったのか。

サマンサから渡された携帯にメールがきた。

「もう私に会いたくなった?」

ジャックは苦笑いしながら、ヒッチハイクを始める。

はにかむトムはいいけど、別に根無し草に疲れて家族がほしいとかいう話ではないから、別に感動するほどではない。

やっぱり、本筋のミステリーと家族の人情モノが絡み合わないので、後味もぼんやり。

アクションもぱっとしないし、唯一よかったところは、蓋が鉄製の塩入れで窓をぶち割るのはかっこいいとおもいました。