似てるのか?アーティスト(自称)『ミュージアム』カエル男と、仕置き人『セブン』ジョン・ドウ。

パクリとか似てるとか、映画や原作漫画とかの出来不出来については置いといて、殺人犯としてキャラクターとして『ミュージアム』と『セブン』を比べたいと思います。

ミュージアムの感想はこちら

『ミュージアム』前半、セブそうでセブくない、少しセブいセブン。
『ミュージアム』 2016・日 大友啓史 IMDb 5.8 Filmarks 3.8 良 ...

ネタバレはちょいちょい入ってます。

動機、広い意味では二人ともかまってちゃん

二人ともかまってほしくて仕方がない。

ジョン・ドウは、惨殺しながらも犯行現場にメッセージを残して、刑事相手にコミュニケーションを図っている。「助けて」と書き残していることから、自分が凶事を行っていると認識していて、殺人を犯す一方で、やめたい、とめてほしいと葛藤もしている。

もともとの動機は、ザックリと言ってしまえばモラルの低下に嘆いて仕置きとして殺人を始めた。

カエル男は、注目集めたい愉快犯。自らをアーティストと呼び、死体を作品、殺人を作品作りと称している。○○の刑と書かれたメモを残すのも作品タイトルという意味何かもしれない。

ただ、軒並み人目に触れないところに死体を放置するのでマーケティングは苦手なようだ。

能力、ほぼ同等

どちらの犯行も、忍耐と体力のいるお仕事ぶり。標的を入念に調べ上げ、そのうえで状況を整えて犯行に及ぶ。カエル男の監禁施設。ジョン・ドウの宅配。どちらも、標的を意のままに操り希望通りの行動をさせている。

またどちらも身体能力が高い。

カエル君は巨大な樹脂(およそ200キロ)の塊を運んだり、衣装ケースに入った大人の女性を運び出したりと体力に自信あり。若手刑事を難なく拘束してビルから突き落したりとかなりの武闘派だ。けども色々と詰めが甘い。

ジョンも自宅を突き止められたとき、銃撃戦からの逃走で見事二人の刑事をまいている。

だけど映画のオチの話をすると、カエル君は失敗し、ジョンはやり遂げいている。

作家性、自称アーティストと、メッセージが作家性を生み出す天性のアーティスト

カエル君は自称アーティストだ。殺しは芸術活動だと思っている。

しかしアーティストを名乗る割には、かけているものがある。観客の存在だ。死体は人目に触れないところに置いて、警察関係者にしか見れないようにする。

ただし写真を撮りためているので、自分で楽しめればそれでいいのかもしれない。でもそれはアーティストじゃなくてオナニストじゃないかしら。

また作家性という意味では統一感がない。作品の方向が固まらず、アマチュアどまりの美大卒業生みたいだ。樹脂を使ってみたり(処女作が一番インパクトあるのも大成しない作家っぽい)、犬をけしかけてみたり。肉を切り取ったり。ジョンをリスペクトする被害者の罪を罰するかのような発言もあるが、見当違いの言いがかりも多い。それに罪と罰がこじ付けでうまいこと言えてない。さらには、そのこじ付けのような作家性も自ら捨てていく、西野刑事の処理のしかたは、刑も言い渡さないし、屋上から雑に落とすだけ。時間が無かったとはいえ、作家としての矜持を見せてほしいものだ。

沢村を作品化する云々は、方向性がぶれている。最初は「お仕事見学の刑」という命名で、子供をターゲットにしたような振る舞いを見せるが、妻にたいして「私刑執行」と言ったり、沢村に「君は僕の最高傑作だ」といったりと、一気に3人相手にした弊害なのか誰を主題に据えたいかわからない。

また、沢村一家相手になるとなぜか猟奇性が失われる。特にカニバリズムフェイントはあまりにも謎。いったん沢村に対して衝撃を与えてから、あきらかにスケールダウンさせている。やさしさか?実は生かしておくというやさしさ、映画鑑賞後も安心してハンバーガーが食べられる。スクリーンの外に対してもやさしい。

沢村に固執する理由を挙げて、「沢村が、妻と子を手も出さずに心を殺したから」と絶賛していた。遠まわしに沢村の親としての責任を非難している。カエル君、根はいい人。なんだか沢村相手のときだけハートフル。

ジョンはメッセージを伝えるために殺しを行う。図らずとも、狂気がアートの領域まで高められていて、見るものに鮮烈な印象を残す。

もともとは作家志望でもないのに、つくりあげる作品に芸術性が宿ってしまった。いわば、ジョンは天才肌だ。

作家性も一本心が通っていて、聖書、中でも七つの大罪をモチーフにしている。被害者選びもしっかりとしていて、狙った獲物はちゃんと作品として完成させている。アーティストを名乗らないわりには職人気質の持ち主だ。

唯一作家性にぶれが見えるのは、「憤怒の罪」。

これを罰するために、まず先に罪のない人を殺している。これは統一感がない。さらには、ジョンの行動によって、憤怒に陥れている。これでは、賄賂を持ちかけて逮捕するおとり捜査みたいで、罪を誘発している。ジョンがいなければミルズ刑事は、ちょいおこ、ぐらいで済んだはずだ。

以上、どちらも独創性に富みながら、やはりオリジナリティという圧倒的アドバンテージを誇るジョンの勝利。

でもカエル男の愛嬌も捨てがたい。

まあ、映画としてくらべちゃうとさあ、ほら、あれだから、草野球の自慢話に大リーガーが交ってくるようなもんだから、やめてあげたほうがいいよ。

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