『ゴーストバスターズ (2016)』ホルツマンがいればそれだけでいい。

『ゴーストバスターズ (2016)』

Ghostbusters

IMDb 5.5

Rotten Tomatoes 73%

ポール・フェイグ

あらすじ:ゴーストはいた。

さほど思い入れが強いわけでもないけど、前作は好きな映画。

楽しい娯楽作とはこういうものだと思える傑作。

評判通り2はうーんとなる部分も多いけどそれなりに好き。

3の報を聞いたときは注目していたし、ハロルド・ライミスの訃報にはしんみりとしてしまった。

本作続編として制作が進んでいたが、ライミスの死去により仕切り直し。完全なリブート作となった。

過去作と関連はなく、ニューヨークでのゴースト事件は初めて起こるものとして扱われる。

前作の懐かしの面々もカメオ出演。

リメイクのため、前作キャラとは無関係だし、模したものでさえない別人としての登場。違和感を抱く人もいるはず。

特撮技術の進歩により、映像は格段に美しくなり、規模も数段大きくなる。

本作の白眉は、 ケイト・マッキノン演じるケイト・マッキノン。技術系オタクパンク、アッパー女史。

一挙手一投足が美しく愛らしくカッコいい。

もう彼女に恋をしたと言っていい。映画の中でどんな欠点があろうとも、彼女が映っていれば何の問題もない。

一本の作品として好きかと問われると、「まーそこそこ」といった塩梅だが、彼女のためなら何回だって見られる。

でも少し、優遇され過ぎで、メアリー・スーに片足突っ込んでる感じがなくもない。

またジェンダーの観点からも語られる本作。

ヒーロー(女)とヒロイン(男)の扱いは大いにうなずけるものの、そのテーマ性がすべてのキャラクターに影響しているのはバランスがわるく感じられる。

敵キャラや、物わかりの悪い市長とかなら許容できても、

前作キャストまでそれに類するような振る舞いをするのは少し不快というか残念というかさみしい。

たしかに男性社会への意趣返しとして極端に色分けしているのは理解できるが、もう少し大人を見せつけるようなバランスで、ちょっとだけでもいい男が登場したほうが角が立たないのではないだろうか。(日本人男性的な物言いかな?)

また、ドラマ要素が薄すぎるため、ちょいと物足りない。一応、「失った友情を取り戻す話」に位置づけはできるものの、それほど掘り下げたりはしない。

変人である自分自身を否定してフツーであろうとするクリステン・ウィグと

変人である自分を愛することで自立できているメリッサ・マッカーシー

このふたりの関係性は『ブライズメイズ』とほぼ同じ、監督も同じだし、『ブライズメイズ』で足りないドラマ分を補ってから見れば、ラストの感動も底上げされるかも。

アクションシーンに少し難がある。

おなじみの捕獲ビームなど、ガジェットがいくつか出てくるが説明不足なためなぜこんな攻撃ができるんだろうと思えて、爽快感を減じてい気がした。

いろいろ緩かったり物足りなかったりはするものの、ホルツマンがいれば、もうそれでいい。

↓ネタバレ感想↓

ニューヨークの古い邸宅。曰くつきの館で怪しげな装置が起動。

すると単なるうわさでしかなかった幽霊が本当に出現してしまう。

ここで登場する女幽霊が非常に美しい。

演じるベス・ロス(Bess Rous)はセリフがまったくないものの、怪しげな表情と古風で美しい顔が、まさにゴシックゴーストといった雰囲気、もちろん、本性はえげつないミイラみたいな顔だけどいいギャップになっている。

エリン(クリステン・ウィグ)は大学教授。

物理学者として大学に認められ、終身雇用されるまであと一歩。

しかし、幽霊騒ぎのあった邸宅の関係者が、エリンの本を読んで現れた。

そこで、過去に共同執筆したオカルト本が世に出回ったことを知る。

ネット時代に忘れられる権利はない。

堅実な物理学者のふりをしているが、過去にはゴーストの研究をしていた。

それを大学側にしられたら、終身雇用どころか在籍すら危うくなる。

勝手に出版した共同執筆者アビーに会いに行くことに。

ここで疎遠になった旧友アビー(メリッサ・マッカーシー)と、同じ研究室でメカニック担当のホルツマン(ケイト・マッキノン)が登場。

キャリアのために研究をやめたエリンとはちがい、アビーはゴースト研究を続けていたのだ。

メリッサのメガネ姿が新鮮でかわいい。なんだか過去作より若返ってみえる。

ケイト・マッキノンは本作で初対面だが、魅力にやられてしまった。大した紹介もされないまま、不敵な笑みで映り込んでの初登場。すでにもう目が離せない。

マギーに本を絶版にするよう頼むが聞く耳を持たない。

話の中で邸宅での幽霊騒ぎの話題に触れ、ホルツマン含む3人で調査に行くことに。

屋敷に赴き、ゴーストとの対面を果たす。

研究を続けてはいても、接触するのは初めて。

『未知との遭遇』のようなどこか感動的な邂逅。もちろんウェットになりすぎないように、直後にスライムまみれにされる。別の意味でウェット。

アビーが撮影、投稿した動画が Youtube で話題なってしまう。

スライムまみれで、「ゴーストは実在した」と狂乱するエリン。

学部長にも見られてしまい。終身雇用が流れた上に解雇されてしまう。

撮影中 → Youtube 画面 → それを見てあきれる学部長までの編集の流れが以上に早くて笑える。

一方、アビーとホルツマンはゴーストとのファーストコンタクトでさらにやる気を出して、大学に資金提供を申し出る。

しかし「そんな研究室がまだあったのか」と断られ、さらには解雇されてしまう。

ここだけに出てくる学長(スティーブ・ヒギンズ)が素敵、F###サインをいろんな手振りで出しまくり、コトリが飛んできたと表現する。

ゴーストの発見、無職が重なったことで、3人で超常現象を調査する研究所を立ち上げることに。

受付を募集すると、とんでもないイイ男かつとんでもないバカがきた。

雷神のような鍛え抜かれたボディの脳筋、ケビン(クリス・ヘムズワース) 結局、エリンがバカの色気に負けて能力を無視して即採用に。

いままでここまで知能の低い雷神がいただろうか。劇中一切の役に立たない。今までの映画だったら、事態を悪化させるバカ、もしくは最後に1アイディアで窮地を救うバカがいたが、このバカただ純粋にそこに在るバカ、一切のプラスもマイナスも発生させない。

バカキャラとしての不快感を減らすためか、ストーリー上のマイナス面が一切ないのも気持ちのいいバカを底上げしている。

ゴースト目撃情報を募集していると駅員のパティ(レスリー・ジョーンズ)が現れる。

彼女は、地下鉄で怪しげな男がなにやら装置を起動すると、死刑囚のゴーストが現れたと言う。

さっそく、試作の捕獲器を持って地下鉄へ。

捕獲器がうまく動作せず。捕獲は失敗。

パティはゴーストに興味をいだき仲間に加わることになる。

しかし、その時撮影した動画が話題を呼びテレビでも取り上げられる。

その番組中で、超常現象懐疑主義者の大槻ハイス博士(ビル・マーレイ)が登場。

話題を集めたおかげで、ゴーストバスターズの名が知れ渡ることに。

さっそくヘヴィメタルのライブ会場でゴースト退治に依頼が飛び込んだ。

まさにライブ中、観客の中をゴーストが飛び回り、それを見事捕獲することに成功。

大勢の前での大捕り物にゴーストバスターズの人気と知名度はうなぎのぼり。

ついには、懐疑主義者ハイス博士がゴーストの存在を証明して見せろと直談判に来る。

エリンはライブ会場で捕獲したゴーストを見せてやると息巻くが、アビーはハイスを無視して研究を画一するのが優先だと諌める。

しかし、エリンは我慢できずにゴーストを解放、置き追いあまって外へ逃げられ、それに巻き込まれたハイス博士は窓から落とされる。

まさかのビル・マーレイがあっさり退場。主人公たちを邪魔しないまでも感じ悪い接し方をするだけで何の効用もない。 さすがに、死んだ場面はないが、それと同等の退場のしかたに悲しくなる。これくらいなら、写真だけかむしろ出演しないほうがよかった。

また、ゴースト見せるかどうか、エリン、アビー間でのやり取りが結構シリアスな雰囲気で行われていた。しかし、後々このことが問題にならないし、逃がしたゴーストはパティが始末する。なんだったんだこのやり取り。

注目を集めるゴーストバスターズは市長に呼び出される。

実はかなり前からFBI≒国が監視していて動向を見守っていたのだという。

ここでの意外な展開、前作ではひたすら足を引っ張るばかりの行政だったが今回は異常なほど聞き分けがよい。

表向きは、エセ科学の詐欺集団と見解を発表しながら、協力体制をとるというのだ。

娯楽作でのお約束にとらわれずテンポの優先させたよい展開。

お上のお許しも出たので、さらに勢いづくゴーストバスターズ。

ホルツマンの秘蔵武器が多数紹介。

ゴースト爆破グレネード

ゴースト粉砕チッパー(木材を粉砕、チップにするアレ)

ゴースト爆殺ナックル

それと護身用スイスアーミーナイフ(フツーの)

あとホルツマン以外には危険すぎる怪しげな銃

武器の試し打ちシーン、クライマックスの期待感を煽りに煽る。

ゴースト騒ぎがあった場所を改めて確認すると、規則性に気付く。

今まで騒動はただの準備段階で、もっと大きなエネルギーを発せさせる計画が見えてくる。

地図から導き出したホテルへ向かうと地下室に怪しげな男が、彼が装置を作りゴーストを呼び出していたのだ。

彼もまた、主人公と同じギークとして描かれている。主人公たちのような仲間がいて明かるいオタクではなく、部屋に閉じこもって孤独な根暗なオタクだ。

装置を止めるよう説得する場面で、アビーも共感をしめす。

同じように苛められていた経験があると、しかも彼が、装置を作るのに参考にしたのは、エレンとアビーの本だった。

敵役に「もしかしたらなっていた不の自分自身」を配置するのは正当な物語テクニックだが、本作は、ちょっと噛んだだけみたいな程度。

たしかに本作ほどの軽快なタッチでは、ピクサーみたいな重みは不要かもしれないが、なまじちょいと触れているだけに気になってしまう。しかし、以降この要素が掘り下げられることはない。

結局、男は装置で感電死してしまう。

装置も止められ、事態は収まったかに思えたが、

実は、男にとって自分が死ぬことも計算済みのことだった。ゴーストとなり、ケヴィンに取り憑き装置を再起動する。

町中からゴーストが湧きだしホテルへと集まってくる。

町が混乱のさなか、エレンが現場に向かうためにタクシーを呼びとめるが、乗車拒否される。

つかえないタクシー運転手役にダン・エイクロイド。

なぜかゴーストに詳しいという面白味はあるものの、妙に非協力的で感じが悪い。現場まで乗せてくれていっても、男の手を借りてしまったことにはならないと思う。

ビル・マーレイ、ダン・エイクロイドはこんな役どころで満足だったのだろうか。

これならまだ、映り込む程度ほうがましだろうに。

いけ好かないタクシー運転手は無視して、エリンは現場に向かう。

ゴーストバスターズメンバーが集合。ニューヨークの町にあふれたゴーストどもを相手にする。

怒涛のアクションシーン。前振りされた殺戮兵器でゴーストたちを粉砕していく。

しかし、いまいち画面の爽快感をストレートに受け取れなかった。ムチ状の捕獲ビームは、攻撃判定があるのかよくわからない。

しかもグレネードなどの攻撃武器の紹介をされるのでなおさら、ビームはどういう設定なのかなと引っかかる。

ホルツマンの秘密兵器二丁拳銃。

この場面は最高にかっこいい。

でも銃から放射されるのがビームだからちょっと設定が気になる。

そして爆心地のホテルに到着すると、憑りつかれたケヴィンが待ち受けている。

メンバーがケヴィンを助ける動機の薄さもコメディならではの処理、いい男を助けるのに理由はいらない。ここでも男女逆転が活きている。

そしてなんとなくケヴィンが解放され、ゴーストが本性を現す。

ロゴマークでおなじみのゴーストが凶悪なサイズと顔で満を持しての登場。

ホテルは破壊され、ぽっかりとこの世ならざる場所に続いた穴が開く。

巨大ゴーストにビームでは歯が立たない。

穴の際でゴーストを待ち構え、車に積んだ核燃料を爆破して強大なエネルギーの反発でゴーストごと穴を閉じる作戦に。

核の出所は謎。 どこでプルトニウムを入手したのかは、明言されない。

科学者ってすごい。

事態が大事になるにつれ、展開が雑に感じられる。ホテルが崩壊したのはわかったけど、そこに穴が開いたかはよくわからないし、どうっからどう一周して穴のところまで戻ってきたかさっぱりだった。

穴を閉じようというとき、ゴーストにつかまれ、アビーが一緒に飲み込まれてしまう。

エリンはワイヤーを体に巻きつけて、アビーを救出に飛び込む。穴が閉じかける寸でのところで、アビーの手を取り、ホルツマンとパティーがワイヤーを引き上げる。

全員無事、穴が閉じるとホテルも元通りに直っていた。

ベイマックスみたいな感動的な場面だけど、二人の仲は、完全に修復された後なのでドラマ的カタルシスは弱い。

そして、事態は収束、

政府公式では、テロによる覚醒剤散布による集団催眠だという隠ぺいで幕を閉じる。

ゴーストバスターズの活躍は公には知られることはない。

つつましい4人だけの打ち上げ。

普段はおふざけしかしないホルツマンが涙ながらにアビーへの感謝を語る。

涙を流すならギャグシーンで流すに限る。ウェットに振り切らない粋な場面。

政府からの資金提供が確約され、

念願の消防署を借りることができた。

霊柩車をおしゃかにして文句をいいにきたパティ伯父さんが、アーニー・ハドソン。顔出し程度の出演ながら、ほかの2人のように変な感じ悪さがなく、無傷でやり過ごせている。

そして、ゴーストバスターズの本格始動、雷神様は受付がほんの少しできるようになってた。

あたらしいメンバーなのか、ホルツマンの恩師としてレベッカ・ゴーリン博士(シガニー・ウィーバー)が登場。

前作の一般人なのに博士になってたり納まりの悪さもあるけど、前述二人に比べたらほぼ無傷。

単体の作品としては楽しむこともできるけど、続編として関連を考えていくと少し引っかかりの多い作品と感じた。

エンドロール後のおまけシーンで序盤に出てきた霊界受信機が出てくる。

霊界受信機を聞いていると、ズールという言葉が。

ヒットしたためほぼ続編は確約されたと思っていいだろう。舞台立てが整った続編こそ本番かもしれない。

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