『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』ゲスト登場待ち。

『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』

2017・日

高橋敦史

Filmarks 3.4

IMDb

映画ドラえもんを見に行って、まず何が見たいかと言うと、のび太たちが純粋に楽しんでいる場面が見たいんですよ。

いつもの日常から始まって、些細なきっかけ(大抵スネ夫の自慢)からのび太の願望が生まれて、それを秘密道具で叶える。そしてそれが発端となりゲストキャラクターと出会って、彼らを助けるためにのび太たちが奮闘する。

長年続く黄金パターン。

しかし本作では、流れは似通っているものの、求めるモノのすべてが不足している感じ。

またお話が散漫な印象で、まとまりに欠けるために、欠点の方が際立て見える。

映画ならではの迫力ある場面や、個々の要素は良いものが多い。

けれども、欠点が際立つ。

道具説明や豆知識披露で話が止まる。突然放り込まれる宮崎駿アコガレ。見当違いのお涙頂戴シーン。あまりにめでたしなエンディング。

またしてもリメイク以外はダメを裏付けるような作品といった感じでした。

お約束の、お楽しみシーンが短い、上に動機がない

映画でお約束の、のび太の願望を堪能する場面が導入部とオープニング映像だけで終わってしまう。

そもそも、のび太の願望が明示されない。

南極に行くきっかけとして、かき氷が食べたいという動機じみたものが示されるが、それも早々と叶う上に子供たちがあこがれるような代物ではない。

かき氷を食べ終わった後についでとして氷の遊園地を作るという話へと切り替わる。(かき氷のくだりがまるまるいらない)

そして氷の中から10万年前の謎の腕輪を発見する。そして持ち主を探すため南極の旅が始まる。(かき氷か遊園地のくだりはどちらか不要)

いつもの映画版だったら、のび太たちが遊びを堪能している過程で、新しい出会いが発生しているはず。そこからゲストキャラクターの事情をくみ取って、手を差し伸べ、冒険へとシフトしていく。

ゲストキャラクター登場が遅すぎる

本作も構造自体は同じなものの、冒険へ繰り出す段になってもゲストとは出会えていない。

アバンタイトルでゲストキャラの奮闘が少し紹介されるものの、のび太たちにとっては見知らぬ人物でしかない。

南極へ冒険に旅立つのに大した決意もなく、散歩気分で出かけてみたら、いつの間にか地球の危機を救う話に巻き込まれている。

過去作なら、ゲストキャラのために、進んで危険に臨むながれになっていたはずだ。

少なくともゲスト登場を30分は早めなくては、のび太たちとの交流も浅く、危険に飛び込む動機が生まれる余地がない。

ものすごく単純な話、腕輪と一緒にゲストキャラクターも一緒に冷凍されていれば話運びもスムースだったのに。(実際、冷凍≒冬眠可能な奴がいる)

存在しないドラマを盛る偽ドラえもん

このシーンさえなければ、いつもの出来の悪い映画で済んだともうけど、この場面があるせいで不快な作品にまでランクアップしてしまった。

物語終盤。

敵の本拠地で、偽のドラえもんが待ち構えていた。本物と入れ替わってしまい、どちらが本物かわからなくなる仲間たち。

本物のドラえもんは、危険を知らせるため信じてもらおうと説得する。しかしいぶかしがる面々。

観客にはどちらが本物かわかっている。それを信じないため、連中の頭が悪く見える。その上、頭上には鋭いつららが迫ってきている。信じてもらって、教えねば危険が危ない。

ドラえもんが本物か偽物か疑うことと、自分の頭上に危険が迫っていることに気づかないのは別案件だろうに、さらに連中がド低能に見えてくる。

さらに驚愕すべきはことの顛末。

思案していたのび太が口を開く。「どっちも本物でいいんじゃないか」

それを聞いた偽物が本性を現しながら叫ぶ「それは、なしだろ」(意訳)

全くの同意だ。

妙にお涙頂戴の雰囲気で演出されているが、かなり意味の分からない場面。 –

偽ドラの方は、たった今登場したばかりの感情移入する場面の無い敵役。方や本物のドラえもん。偽ドラに配慮する余地などひとかけらもない。なぜのび太は偽物を気遣うような発言をしたのか最後までわからない。

そもそも、この映画の中でのび太とドラえもんの不和が描かれていないのでドラマとして盛り上がるわけもない。

前半でのび太だからわかるドラえもんの特徴が描かれているわけでもない。

っていうか結局見破ってない。

何なんだこの場面。なくても話が成り立つし。

で、エンディング

その後も、あからさまな複線回収を何度も回想シーンを入れて念押しして来たりと辟易する展開が満載。

さらには、ゲストキャラクターの行いを10万年越しになじるジャイアンという映画版ジャイアンらしからぬ場面もある。

そして極めつけはラスト。

ゲストは故郷の星よりも地球の危機を救うため腕輪を使う。壊れる腕輪。

苦渋の決断をした後、何の前振りもなく、ほかにも腕輪がいっぱいありましたとエンディングを迎える。

いい気なもんだな。

そしてスタッフロールあとには、海賊ルックのドラえもんが登場。まさか南海大冒険のリメイクでもする気なのか。

あれも結構ひどかった記憶があるども。

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