『Deprogrammed』カルトが監禁洗脳するのなら、拉致監禁して洗脳し返すしかない。

Deprogrammed

Deprogrammed

2015・カナダ・米

Mia Donovan

IMDb 6.8

Rotten Tomatoes Not Available

あらすじ:洗脳を解くため、拉致監禁も辞さない。

『ゴーイング・クリア』が面白かったので、カルト教団つながりで、Netflixで鑑賞しました。

ザックリと感想を

カルト教団に洗脳された人を、“説得”して洗脳を解くディプログラミングの創案者、テッド・パトリックのドキュメンタリー。

構成に工夫がないし、ため、淡々とインタビューを聞かされるだけで退屈です。

いろいろなカルト教団の話や洗脳手段について語らるけど、それほど真新しい発見はありませんでした。

ディプログラミング自体については知らないことだったので、興味深くは見れました。

でも題材にたいして、肯定したいのか否定したいのかよくわからないぼんやりとしたドキュメンタリーになっています。

洗脳を解くための洗脳

テッドのディプログラミングは、言ってしまえば強硬手段だ。

カルト教団に所属する人は、望んで参加している。そのため説得するどころか話をすることもままならない。

デッドはまず洗脳被害者を拉致し、地下室などに閉じ込め、被害者の家族とともに説得するのだ。

まさに毒を持って毒を制す。

手段を選ばず有罪に

テッドは、誘拐も辞さないため多くの訴訟を抱えることになる。無罪を勝ち取ることもあったが、拉致監禁で有罪になる。

テッドは冤罪だと語っている。その事件の被害者が誘拐された時は別の州にいた。

有罪となった件について冤罪だとしても、各地で拉致監禁を行っていたことは事実である。

このあたりで、テッドに対する印象がグレーなものになっていく。それが、作品の狙いというよりは、ただテーマがぼやけているように思えてしまった。

人物の功罪両方を描くのはフェアといえばフェアだけど、ドキュメンタリーとしては何を伝えたいのか芯が通っていない感じ。

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まとめると

未知の事柄を知れる面白味はあるけど、テッド本人の人物像があまり掘り下げられないし、洗脳から解けた人たちも当時の経験を語るばかり。

カルトはなくならない、と警鐘を鳴らしていても、言及されるのは過去のことばかりなのであまり身につまされる事はない。

『ゴーイング・クリア』のように、ハリウッドも絡んだ現在進行形の刺激的な要素もないため、結構退屈だった。

↓ネタバレ感想↓

テッド・パトリックは、息子を連れて、独立記念日の花火を見にいく。

テッドは息子とはぐれてしまい。

発見された頃には、息子は変わってしまっていた。

それまではフットボールのスター選手として活躍したアクティブな少年だった。

しかし事件以降は、部屋にこもって聖書を読みふけるなど性格が変わっていた。

息子が誘拐されたとき、監禁され神についての話を聞かされ洗脳されていたらしい。

息子の一件からテッドはカルト集団について調べ始める。実際に

集団に潜入したりしていくうちに手口を知っていく。

息子が被害にあったというわかりやすい動機が示されるが、息子はその後どうしているのかイマイチわからないため、ドラマチックにもり立てる要素にはならない。

寝ずに話し合った、と一言回想するだけで、洗脳が解けたのかどうかもわからない。

テッドは専門の勉強をしたわけでもない、ただ知識と経験で、脱洗脳を画一化していく。

いつの間にか没頭していき、息子の卒業式にも行かないほど。

息子のマイケルは、25歳という若さで水難事故で死んでしまう。

ナレーションで触れられても、何を掻き立てたいか全くわからない。

卒業式に行かなかったという事実はあるものの、息子はどう思っていたか示されないし、水難事故についてテッドはどう思っているか話さない。

テッドの人物像に迫る部分はぼんやりしてたけど、カルト宗教豆知識はそこそこ面白かった。

カルト宗教団体の隆盛は、ベトナム戦争以降に見られる。

反戦運動が実を結ばず、ヒッピー文化の延長にある、行き先を失った“平和”によって結びついた集団がカルト化していった。

洗脳の手段はどの教団でも共通している。

まずは、家族とのつながりを絶たせる。他の考えが入るのを防ぐためだ。

そのときに多くの集団が引用した聖書の一節がある。

ルカによる福音書 14章26節

「私のために、父母や兄弟姉妹を捨てないものは神の国に行けない」

カルトに洗脳されたものは、家族と連絡が取れない状態にされ、長時間の労働を強いられる。1日20時間働かされた者もいた。疲労で考えが回らないようにするためだ。

当時を振り返る信者は「自分が役に立っているという実感があって、全く苦ではなかった」と言っている。

テッドは洗脳被害者の家族から依頼を受けて、カルト教団から家族を“連れ戻す”活動を始める。

家族に頼まれたとだけ説明されるが、調べて見ると報酬は受け取っているみたい。ドキュメンタリーとしてゆるすぎる。

テッドは、次々にディプログラミングを成功させ、名声を高める。

強硬手段が問題視され、訴訟の数も悪評も増えていく。

体験者は当時をこう語る。

「テッドに監禁され説得された。周りに家族もいたので、家族の愛を知ることが出来て感謝している。でもテッドのことは未だに許すことはできない」

家族いわく洗脳されたと言っても、本人は望んでいることだ。

しかも拉致監禁も辞さない強硬手段に出ている。

それの是非を結論付けるのは難しい。でもこのドキュメンタリーの姿勢を示してくれないと、見ている方は否定も肯定もできない。ただただぼんやりとするばかり。

正義感が肥大化した狂人として描くとか、

逆に、カルトも金になるが、反カルトも金になるとか

何かテーマを絞ってくれたほうが見やすかった。

サイエントロジーやら人民寺院のジム・ジョーンズについて触れたりもするけど、テッドのとの関連は説明されないので、取り上げる意味がない。

現代のテロリストの洗脳についてすこし触れて、洗脳はいまも続いている。

とか言ってみても、ただぼんやりした昔話を聞かされただけにしか感じなかった。