『アシュラ』それでも命を食べて命を繋ぐ。CG肉を。

『アシュラ』
2012・日 さとうけいいち
IMDb 6.8
Filmarks 3.5

あらすじ:人肉を喰って生き延びてきた。
ジョージ秋山の問題作を映画化。
原作力が高いのでお話はしっかりと見れるしテーマの重みも感じないではない。
しかし手法としての3DCGが足かせになっている。
人間の生々しさを描かれている作品で、出てくる人間に生気がないのはいかがなものか。序盤の餓死寸前の母親が幽鬼のように歩いている様は、CGならではの気持ち悪さがマッチしていた。しかし、そこ以外もCG感がぬぐえない。

さとうけいいち監督のTIGER & BUNNYでは、ヒーロースーツがCGで生身の人間は手書きというすみ分けができていた。だが本作はすべてがヒーロースーツしか出てこない。のっぺりしたアイアンマンしかいない世界で食肉やら人の罪を問われても見につまされない。身が出てこないもの。
キャプテン・ハーロックなどをみても思ったが、すべての動きに無駄がなくキレが良すぎて人間味がない。アニメの場合はコマとコマの間を脳が補うが、CGではそれがないせいか、そのまま魂のない人形が動いている様が見えてしまう。

ディズニーピクサーに追いつくのはまだまだ先。
物語の始まりはかなり期待が持てた。魂の抜けたアシュラの母親は、CGとの相性も良く、異様な雰囲気として受け入れることができる。
その後、アシュラが成長して以降は、CGの害が顕著になる。荒廃した街並みが、どこか清潔感が感じられる。のっぺりしたトゥーンシェードでは、どこかプラスティックな印象だ。

アシュラのデザインもこぎれいにまとまっていて、醜い獣というよりは、ブサかわいいパグみたいだ。

ヒロイン、若狭のデザインも、美人設定が行き過ぎていて、そのままプリキュアダンスでも踊りそうなCGだ。

↓ネタバレ感想↓


一番ダメだとおもったシーンは、肉を食うという場面。馬の肉を人肉と誤解して、若狭が食べないと拒む。

この肉が赤いテクスチャーを張り付けただけの塊で、おいしそうにもグロテスクにも見えない。

また若狭が肉を食べないと拒んだことによってテーマがぼやけていしまう。人肉と誤解しているとはいえ、原作と違いそのまま死んでしまうのはあまりに魂が清すぎて、人間の醜さを描く妨げになっている。
最後に出家するのも、若狭に癒されたからみたいなポジティブな雰囲気になってしまう。
よくもわるくも見やすい作品になっている。

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