『ARQ 時の牢獄』みんな大好きループもの。リヴ・ダイ・リピート イン一軒家。

『ARQ 時の牢獄』

ARQ

2016・米

トニー・エリオット

IMDb 6.5

Rotten Tomatoes Not Available

あらすじ:殺されると、直前に時間が戻っていた。

タイムループの文言に引かれてNetflixで鑑賞。

ザックリと感想を

みんな大好きタイムループもの。

自宅にいきなり正体不明の男たちが襲撃してきて、金品を奪おうとしてくる。反撃しようとして殺されるとそのたびに襲撃直前に戻る。

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』に似た、死に戻りからの試行錯誤が楽しい作品。

ジャンルが持っている面白さはある程度満たしてくれる。

低予算ゆえのこじんまりした印象はあるものの、変化球な設定も盛り込まれていて、その点ではお勧めです。

舞台は、荒廃した未来

舞台は現代ではなく、地球が荒廃した未来。エネルギー問題が戦争に発展し、今なおエネルギーの独占をしている企業とそれに抵抗するレジスタンスたちの戦いが繰り広げられている。

かなり込み入った設定が張り巡らされているものの、本作はループものの特性を生かしすんなり理解させることに成功している。何度もバックで流れているニュースを聞いたり、人物たちがそれに反応していたりするのを耳にすることになる。さらにループしていき徐々に人間関係が明らかになったりと飽きさせない作り。

ループものとしての独自設定

ただのループものというだけでなく、ループを重ねていくうちに他ではない展開へ発展していくのも面白い。しかし、その発展のさせ方が若干雑で少々興を削がれる感も否めない。

低予算

それに、魅力的な世界観を持っているわりに、低予算ゆえか荒廃した世界の描写かなり少ない。映画のほとんどは襲撃された一軒家の中だけで進行していくので、設定された世界観の広がりがみえてこない。

スタッフ・キャスト

監督脚本は、『オーファン・ブラック 暴走遺伝子』の人。ショーランナーではないが、ストーリーエディターで参加しているトニー・エリオット。

主演は、ARROWっぽい顔だと思ったら、いとこのロビー・アメル。フラッシュでファイヤーストームで出演している。ヒロインは『ジェシカ・ジョーンズ』のトリッシュ役レイチェル・テイラー。なんだかアメコミに縁があるキャスティング。

スポンサーリンク

まとめると

前半部は、堅実なループもの。失敗を重ねて、効率よく進んでいけるようになるのが楽しい。ただし真新しさはない。

独自設定が見え始めると、とたんに説明不足になるので、それについていけないのが惜しい限り。

↓ネタバレ感想↓

オール・ユー・ニード・イズ・キル [Blu-ray]
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント (2015-06-03)
売り上げランキング: 749

レントンは自宅で目を覚ます。いきなりマスクをつけた男たちに襲われる。そして殺されたかと思ったら、さっきと同じように目を覚ます。時計を見ると時間が戻っている。

SFにありがちなナレーションではなく、いきなり目を覚ますシーンそして即死で1ループが終わる。まどろっこしい話が一切ない素晴らしいスタート。

舞台は未来、エネルギー問題は戦争へと発展し、世界は荒廃している。食糧物資は不足し、人々は困窮。大企業「トーラス」が物資とともに権力を有し、一部の人間たちがそれに刃向いレジスタンス組織「ブロック」として活動している。

かなり設定が込み合っているが、まったくナレーション処理しないのに好感がもてる。ループを重ねる中で少しずつ小出しになっていくので、徐々に全貌が見えてくる楽しさがある。ただSF好きでないと面食らってしまうかもしれないし、何より単純なループものにこれほど重厚な世界観が必要かはすこし疑問だ。

レントン(ロビー・アメル)は、かつてトーラスに勤めていたエンジニア。ブロックともかかわりを持ったため、いまは身を隠している。昔の仲間で恋仲でもあったハンナ(レイチェル・テイラー)と再会し一晩語り明かしたところだ。

人間関係の部分も少しずつ明らかになっていく、具体的な説明セリフがないのに情報が混乱なく入ってくるのでかなり巧妙な脚本といえる。

襲撃してきた男たちは、レントンとハンナを地下室で拘束。レントンが持っている株券をよこせと脅してくる。地下室にはレントンの作った機会があり、それを触ったことで、襲撃者の一人が死亡している。

レントンが作った機械の名前はARQ。夢物語だといわれていた永久機関だ。無限に発電することができるもので、企業が聞いたらほしがるに違いない代物。推察するにこの永久機関が原因でループが発生しているようだ。

何度となく隙を見ては逃げ出し、反撃の機会をうかがう。

ループもので一番楽し場面、試行錯誤シーン。最初は拘束を解くのに四苦八苦していたが、何度かやっていくうちに、スムースに解けるようになっていく。

ループの中で、ハンナが、実は男たちの仲間だったとわかる。

そして、秘密を知って戻ったレントンは、なぜハンナが裏切ったかを探る。結局、レントンが離れていったのが原因だとか、企業につかまって拷問を受けたとかいろいろあるけれど、結局、説得してから協力体制になるのでただの驚きのための驚きにしかなっていない。

ハンナを説得することができたが、今度は二人とも殺されてしまう。また最初に戻る。するとハンナも殺された記憶があることがわかる。

ここで本作独自の設定。

主人公以外もループしていることを認識していく。しかもその人数が増えていく。

この時点では、時間内に殺されると記憶が引き継がれるのかと思ったが、詳しくは明かされない。

ARQにつながった端末の情報を見ると、ループの原因が発覚する。レントンたちが目覚めるまえ、侵入者の一人がARQに触ってた時間から3時間でループしていることがわかる。

てっきり死に戻りかと思いきや一定時間で戻る設定だったようだ。序盤の描写と矛盾するようにも思えるが、納得できるとしたら、死んだあとすぐではなく、3時間たってから、元に戻ったということか。

ARQの動作を調べてみると、永久機関での充電がされていないことに気が付く。ARQは3時間で電源を使い切り、時間を戻して同じ電力を使っている純粋なタイムマシンだったのだ。

さらにループを繰り返していくうちに襲撃犯の中にも記憶を保つ者がではじめる。

明確な理由は説明されない。おそらくループを繰り返したせいだとふんわりしたセリフはある。

ふと時計をみると以上に時間の進みが早い。どうやらARQの回転数が上がると時間が早く進むようだ。

なんとなく時計が早く進んではいるものの、物が早く落ちるだとかそういったことは起きないのでどんな状況かよくわからない。

ARQの履歴を見ると映像が残っていた。レントンたちには記憶がない映像で、何かを伝えようとしていると兵士たちが突入してくるところで映像が途切れている。

かなりの反則設定、映像が残っている。普通この手のジャンルは、何も残せない代わりに記憶と経験の積み重ねで話を転がしてくものだ。

ついに、その場にいる全員が覚えている状態に、誰が先んじるかで待ったく展開が変わってきてしまう。

ここでの展開も、致し方ないとはいえ肩透かし。結局記憶を保つ理屈は説明されない。なんとなく繰り返しているうちにデジャヴを感じ始めるというぼんやり設定。

せっかくの独自設定なのに非常に残念。時間内に殺されたらとか、ARQに触ったらとかもっと具体的なトリガーがあったほうがSF的にもおさまりがいいはず。

襲撃者たちを避け、レントンとハンナは家の外に出る。汚染された外気に、マスクが一つしかないため遠くへはいけない。家から数メートル離れてみると、周囲の地面が円形に石化していることに気が付く。ループしていたのは家の中だけで円から外は通常の時間が経過していたのだ。

ここの設定もよくわからない。境界線の中だけでループが起きるってことは、外では普通に時間が流れているということだろうか?しかし、いかんせん外に出る場面は初めてだし、どっちにしろ荒廃しているからさっぱりだ。

ARQのログを確認してみるとレントンの記憶にない量の履歴があった。記憶がないだけですでに何千回も戻ってきていたのだ。ハンナもそれを聞きあきらめかける。

どいうこと?ハルヒのエンドレス・エイトっぽい衝撃の事実だけども、つまり家の外ではかなりの時間が過ぎていて、企業もレジスタンスもなくなってるってことなのか?

しかしレントンはあきらめず。次回のループの自分へメッセージを残す。「ARQをブロックに渡せハンナを信じろ」そしてもう一度目覚める。

切れのいいエンディングと言えなくもないけど、なんだか希望的なのか絶望的なのか、どちらにも素材が不足している。できれば、次のループでは確実に事態を突破できる要素を見つけての終わりだったらもっと爽快感があったと思う。

こじんまりした低予算映画としては満足な部類だけど、どうにも、決定打に欠ける。

一番の面白要素で長所でもあるループの認識者が増えていく展開がいちばん杜撰なのはもったいなさすぎる。さらにそこを掘り下げるわけでもなく、次々と、映像が残せるだとか、家の外はループしてないとか、後半はもう設定が渋滞している。新鮮な設定もこれでは活きてこない。

非常に残念。

後半設定が盛りだくさん過ぎたのは、Netflixなだけに、もしかしたらこれはパイロット企画でドラマシリーズ化とかあったりして。